明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

坊っちゃん

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 40

296.『坊っちゃん』 ブログ総目次 ブログ総目次坊っちゃん篇1 257.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(1)――ライバルは『心』と『破戒』漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 1 - 明石吟平の漱石ブログ 坊っちゃん篇2 258.『坊っちゃん』日本で一番有名な小…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 39

295.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダー付 第1章 坊っちゃん (全5回) (明治16年~明治38年/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜)1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る(明治16年1歳~明治28年13歳)(P249-5/…

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294.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダーなし 先にも断った通り回数分けやそのタイトルは勝手に付けたものである。回数分けのガイドとなる頁の表示は、岩波書店版『定本漱石』第2巻(2017年1月初版)に拠った。第1章 坊っちゃん (全5回) 1回 …

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293.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダー付 第1章 坊っちゃん (全5回)(明治16年~明治38年/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜) 1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る(明治16年1歳~明治28年13歳) 2回 こいつは…

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292.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダーなし 第1章 坊っちゃん (全5回) 1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る2回 こいつはどうせ碌なものにはならない3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった4回 六百円の使用法に就て寝ながら…

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291.『坊っちゃん』むすびに代えて――「おれ」と「私」の秘密 宇宙船ともいえる漱石文学の航路に、限りない可能性を残して『坊っちゃん』は閉じられたが、それで本ブログ冒頭の宿題、以前の項(第19項)でも触れた『坊っちゃん』と『心』の共通点の話である…

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290.『坊っちゃん』1日1回(12)――坊っちゃん最初で最後の嘘 第11章 天誅 (全6回)(つづき)(明治38年10月24日火曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた(11月9…

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289.『坊っちゃん』1日1回(11)――月齢が語る天誅の晨 第11章 天誅 (全6回)(明治38年10月24日火曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)1回 今朝の新聞を御見たかなもし(10月24日火曜)(P382-3/あくる日眼が覚め…

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288.『坊っちゃん』1日1回(10)――坊っちゃん最後の事件 第10章 祝勝会の夜 (全4回)(明治38年10月23日月曜)1回 祝勝会に生徒を引率(10月23日月曜)(P368-8/祝勝会で学校は御休みだ。練兵場で式があると云うので、狸は生徒を引率して…

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287.『坊っちゃん』1日1回(9)――先生たちも寄宿舎の生徒に負けていない 第9章 送別会の夜 (全4回)(明治38年10月16日月曜)1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ(10月16日月曜)(P353-12/うらなり君の送別会のあると云う日の朝、学校…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 30

286.『坊っちゃん』1日1回(8)――赤シャツと漱石完全一致 第8章 赤シャツ (全4回)(明治38年10月10日火曜~10月13日金曜)1回 赤シャツと山嵐(10月10日火曜~10月13日金曜)(P340-3/赤シャツに勧められて釣に行った帰りから、山…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 29

285.『坊っちゃん』1日1回(7)――マドンナ野芹川の夜の遭難 第7章 マドンナ (全5回)(明治38年9月30日土曜~10月9日月曜)1回 萩野の家へ宿替え(9月30日土曜~10月6日金曜)(P322-6/おれは即夜下宿を引き払った。宿へ帰って荷物をま…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 28

284.『坊っちゃん』1日1回(6)――土曜日午後の職員会議 第6章 職員会議 (全5回)(明治38年9月29日金曜~9月30日土曜)1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう(9月29日金曜~9月30日土曜)(P304-15/野だは大嫌だ。こん…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 27

283.『坊っちゃん』1日1回(5)――日本一有名な無人島 第5章 ターナー島 (全3回)(明治38年9月29日金曜)1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った(9月29日金曜)(P292-6/君釣りに行きませんかと赤シャツがおれに聞いた。…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 26

282.『坊っちゃん』1日1回(4)――赤シャツも漱石も宿直免除 第4章 宿直事件 (全3回)(明治38年9月25日月曜~9月26日火曜)1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか(9月25日月曜)(P280-3/学校には宿直があって、職員が代る代…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 25

281.『坊っちゃん』1日1回(3)――記念すべき最初の松山弁 第3章 教室 (全3回)(明治38年9月7日木曜~9月24日日曜)1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし(9月7日木曜)(P270-13/愈学校へ出た。初めて教場へ這入って高い所へ乗った…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 24

280.『坊っちゃん』1日1回(2)――芋が剥き出しになっている 第2章 到着 (全3回)(明治38年9月4日月曜~9月5日火曜)1回 松山初日に清の夢を見た(9月4日月曜~9月5日火曜)(P261-6/ぶうと云って汽船がとまると、艀が岸を離れて、漕ぎ寄せ…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 23

279.『坊っちゃん』1日1回(1)――勘太郎ふたたび 恒例により『坊っちゃん』に目次を付けてみる。幸いにも『坊っちゃん』は11に章分けされている。これは『三四郎』13、『それから』17、『門』23に比べてどうか。1章あたりのページ数という観点か…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 22

278.『坊っちゃん』怒りの日々(5)――カレンダーは破綻するのか 漱石に日曜日という語の出て来ない小説は無いと言えるが、その例外の代表格たる『草枕』は、全体が課業休暇中(春休み)のような小説である。 ところが『坊っちゃん』でも、主人公が中学校教…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 21

277.『坊っちゃん』怒りの日々(4)――お金と数字のマジック 愛と生そして死。書出しの1字たる「親」。漱石文学のキーワードはこれだけにとどまらない。 金と女。漱石の小説は金と女の話であるといって過言でない。 この世に女について書かれない小説は無い…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 20

276.『坊っちゃん』怒りの日々(3)――書出しの1文字は「親」である 『坊っちゃん』の書出しの1文字は、厳密に言うと、どの本も章番号を表わす「一」であるが、漱石は「一」とは書いていない。章の番号を書き始めるのは「二」からである。『坊っちゃん』に…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 19

275.『坊っちゃん』怒りの日々(2)――怒りの裏側には「おれ」がいる その2つの詩的情景のうちの1つ目の、誰もが認めるターナー島の描写であるが、そのターナー島なるものを始めて世に紹介しようとするくだりからして、すでに美しい。 船頭はゆっくりゆっ…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 18

274.『坊っちゃん』怒りの日々(1)――怒りの裏側には滑稽と書いてある さて『坊っちゃん』の物語は「いたずら5連発」で始まっているが(2階飛降り・西洋ナイフ・勘太郎退治・茂作人参畠・古川の井戸)、その底に横たわっているものは「怒りの感情」である…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 17

273.『坊っちゃん』愛と生(4)――『論理哲学論考』を口笛で吹く ここで改めてヴィトゲンシュタイン『論理哲学論文』最後の5%部分の拙訳のみ掲げてみる。 原文は毎回掲げているが次の2冊による。Ludwig Wittgenstein ‘‘ TRACTATUS LOGICO – PHILOSOPHICUS…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 16

272.『坊っちゃん』愛と生(3)――『論理哲学論考』で語られる沈黙について 3回に分けて紹介する『論考』もこれで最後である。前項のスピノザについては正直言って理屈がよく判らない。論者はヴィトゲンシュタンがシェイクスピアを読んだ程度にも及ばないく…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 15

271.『坊っちゃん』愛と生(2)――『論理哲学論考』で語られる生について 『論考』の引用を続ける。Ludwig Wittgenstein ‘‘ TRACTATUS LOGICO – PHILOSOPHICUS ’’US Translated by Charles Kay Ogden ( Dover Publications, INC. , New York 1999 )UK Transl…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 14

270.『坊っちゃん』愛と生(1)――『論理哲学論考』で語られる倫理について 『坊っちゃん』や『猫』の魅力は、語り口の面白さに加えて、変人漱石の達観した人生態度にあることに異論はあるまい。作者の人生観に惹かれるからこそ、広く長く読まれるのである。…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 13

269.『坊っちゃん』聖典発掘(4)――生原稿116年目の真実(つづき) いらぬことだが最後に両者を直接比べてみよう。萩野の婆さんの会話の文章を順に比較して、虚子の加筆を経たと思われる表現を(漱石が自分で直したのかも知れないが)「現」、漱石のオリ…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 12

268.『坊っちゃん』聖典発掘(3)――生原稿116年目の真実 では前項までの坊っちゃんと萩野の婆さんの会話シーンの、赤字で示した虚子の添削部分を取り去って、あるいは一部漱石の書いた(消した)部分を(目を凝らして)復元して、漱石のオリジナル原稿を…

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 11

267.『坊っちゃん』聖典発掘(2)――松山弁の呪縛(つづき) 『坊っちゃん』で有名になったのは中学校生徒の発する松山弁の方であろうが、授業やおなじみのバッタ事件のくだりに虚子の手はほとんど入っていない。これはエピソードが半ば坊っちゃんの口で語ら…