明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」野分篇 33

368.『野分』おわりに――会津八一が地獄の入口で詠んだ歌 先に述べた、『野分』は男の小説であるということに関連して、これは突飛な連想でもあろうが、本ブログ野分篇で折角会津八一を持ち出したからには、最後に彼の歌を1首紹介して終わりにしたい。ただ会…

漱石「最後の挨拶」野分篇 32

367.『野分』すべてがこの中にある(11)――最終作品への道 ・『草枕』と『虞美人草』の例外 『草枕』は季節だけを言えば春休みの話である。画工が那古井の温泉宿に滞在する何日かを語っているに過ぎない。画工は教師ではないのだから(那美さんからは先生…

漱石「最後の挨拶」野分篇 31

366.『野分』すべてがこの中にある(10)――漱石と秋(つづき) (前項よりつづき)《例題15 ア、秋(つづき)》・『道草』 『行人』『心』では秋というより夏起点になってしまったようだが、『道草』もスタートはさらに早まって、6月頃と目される。御住…