明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」道草篇 8

382.『道草』初恋考(1)――漱石の初恋とは何ぞ(十代篇) 未練がましいようだが、もう1度『硝子戸の中』の芸者咲松のくだりと、『道草』御縫さんを追想する箇所を引用したい。芸者咲松 其頃従兄(高田庄吉――漱石の父直克の弟作次郎の子)の家には、私の二…

漱石「最後の挨拶」道草篇 7

381.『道草』へ至る道(5)――空白の1年間 第5項で掲げた漱石の徒弟時代14年間の前半部分を再録する。明治12年3月 府立1中入学明治13年 (寄席に通い始める――講談は子供の頃から好きだった)明治14年1月 母千枝死去(56歳)明治14年4月頃 …

漱石「最後の挨拶」道草篇 6

380.『道草』へ至る道(4)――寺田寅彦の功績と世紀の誤植 本ブログ草枕篇で堤重久の『太宰治との七年間』という本から長々と引用したことがある。太宰治が教師であったことは1度もないから趣きは少し異なるが、ここで漱石の一番弟子寺田寅彦の古典的な回想…

漱石「最後の挨拶」道草篇 5

379.『道草』へ至る道(3)――漱石のウィルヘルムマイスター ついでと言ってはナンだが、漱石の年譜をさらに遡ってみよう。上っ面だけになるが、書生時代から洋行まで、あくまで『道草』の時代へ繋げるための年譜である。《漱石の徒弟時代》 (極楽水・猿楽…