明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」道草篇 16

390.『道草』先行作品(5)――『満韓ところどころ』 ・第2集『満韓ところどころ』 明治42年10月~12月『永日小品』以外に明治42年にはもう1つ、『満韓ところどころ』(全51回)という未完の紀行文集がある。『永日小品』は新春に書かれたが、『…

漱石「最後の挨拶」道草篇 15

389.『道草』先行作品(4)――『永日小品』(つづき) ・第1集『永日小品』 明治42年1月~3月(つづき)15回『モナリサ』 井深がモナリサの額画を買って欄間に掛けた~落下してガラスが砕けた~すぐ屑屋に売った~井深はモナリサもダヴィンチも知らな…

漱石「最後の挨拶」道草篇 14

388.『道草』先行作品(3)――『永日小品』 ・第1集『永日小品』 明治42年1月~3月 小品とはよく言ったものである。まるで漱石全集のためにある言葉といってもよい。漱石全集(岩波の)に随筆という分類はない。(『猫』という名作の存在にかかわらず、…

漱石「最後の挨拶」道草篇 13

387.『道草』先行作品(2)――『文鳥』と『夢十夜』(つづき) 最後にもう1つだけ。先の項で漱石の初恋にかこつけて『文鳥』の記述をあれこれ探ったが、この小品に綴られた1羽の文鳥そのものの印象は、『行人』三沢の初恋(おそらく)の女に似ている。例の…