明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」道草篇 12

386.『道草』先行作品(1)――『文鳥』と『夢十夜』 漱石の「明治39年怒りの3部作」には(『猫』は別格として)、それぞれ先行作品というものがある。・『坊っちゃん』――『趣味の遺伝』(小説の結び方の秘訣)・『草枕』――『一夜』(温泉宿の怪事件)・『…

漱石「最後の挨拶」道草篇 11

385.『道草』初恋考(4)――『文鳥』と『永日小品』をつなぐもの 漱石は自分の初恋を書かなかった。書かなかったからこそ様々に喧(かまびす)しいのであろう。奥手で理屈っぽく、粗暴で含羞み屋の金之助に艶っぽい話などなくて当然とも言えるが、ただ1つ、明…

漱石「最後の挨拶」道草篇 10

384.『道草』初恋考(3)――漱石の初恋とは何ぞ(二十代後半篇) ここで本ブログ第5項(漱石のウィルヘルムマイスター)から、「漱石の徒弟時代」の後半~「遍歴時代」の前半を再掲したい。《漱石の徒弟時代》(牛込喜久井町)明治23年7月 第1高等中学…

漱石「最後の挨拶」道草篇 9

383.『道草』初恋考(2)――漱石の初恋とは何ぞ(二十代前半篇) 明治21年復籍後の漱石の身近には同い年の嫂登世が3年間いた(明治24年没)。その間のトピックスは明治22年森有礼国葬時の『三四郎』広田先生の「夢の女」、明治24年子規宛書簡「銀杏…