明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」道草篇 4

378.『道草』へ至る道(2)――『道草』の時代 『道草』成立までの道のりが示されると、ついでにその前の事象も追加したくなる。①健三が遠い所から帰って来て駒込の奥に所帯を持ったのは東京を出てから何年目になるだろう。(『道草』冒頭)から、②其一枚には…

漱石「最後の挨拶」道草篇 3

377.『道草』へ至る道(1)――『門』から『道草』執筆まで 『門』は漱石が始めて夫婦を主役に据えた小説である。宗助と御米は好き合って一緒になった若い夫婦である。宗助は漱石を彷彿させるが、御米は鏡子と共通点のない、全体として漱石夫婦とは別世界に暮…

漱石「最後の挨拶」道草篇 2

376.『道草』はじめに(2)――漱石はなぜ『道草』を書いたか 『道草』のテーマは次の3点である。Ⅰ 養父母との確執。Ⅱ 生い立ちの暗い翳。Ⅲ 夫婦の葛藤。 Ⅰについては、『道草』が最初で最後の言及になるだろう。漱石にとってはなるべく書きたくない話だから…

漱石「最後の挨拶」道草篇 1

375.『道草』はじめに(1)――道草を食ったのは誰か 本ブログは『三四郎』『それから』『門』の初期(青春)3部作、『彼岸過迄』『行人』『心』の中期3部作のあと、晩期3部作の緒篇、『道草』に入るはずであったが、その前に、『坊っちゃん』『草枕』『野…

漱石「最後の挨拶」野分篇 39

374.『野分』ブログ総目次 ブログ総目次野分篇1 336.『野分』はじめに――小説の神様が愛読した小説 漱石「最後の挨拶」野分篇 1 - 明石吟平の漱石ブログ野分篇2 337.『野分』式場益平からの手紙(1)――驚愕の高岡市と高田市 漱石「最後の挨拶」野分篇 2 …