明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 40

296.漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 ブログ総目次

 

ブログ総目次

 

坊っちゃん篇1 257.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(1)――ライバルは『心』と『破戒』

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坊っちゃん篇2 258.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(2)――何の用だろう

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坊っちゃん篇3 259.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(3)――書出しの1行にすべてがある

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坊っちゃん篇4 260.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(4)――東西南北の謎

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坊っちゃん篇5 261.『坊っちゃん』日本で一番有名な小説(5)――日本で一番有名な下女

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坊っちゃん篇6 262.『坊っちゃん』のカレンダー(1)――充実の秋

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坊っちゃん篇7 263.『坊っちゃん』のカレンダー(2)――23歳の始まり

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坊っちゃん篇8 264.『坊っちゃん』のカレンダー(3)――結末の謎

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坊っちゃん篇9 265.『坊っちゃん』のカレンダー(4)――もうひとつのカレンダー

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坊っちゃん篇10 266.『坊っちゃん聖典発掘(1)――松山弁の呪縛

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坊っちゃん篇11 267.『坊っちゃん聖典発掘(2)――松山弁の呪縛(つづき)

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坊っちゃん篇12 268.『坊っちゃん聖典発掘(3)――生原稿116年目の真実

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坊っちゃん篇13 269.『坊っちゃん聖典発掘(4)――生原稿116年目の真実(つづき)

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坊っちゃん篇14 270.『坊っちゃん』愛と生(1)――『論理哲学論考』で語られる倫理について

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坊っちゃん篇15 271.『坊っちゃん』愛と生(2)――『論理哲学論考』で語られる生について

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坊っちゃん篇16 272.『坊っちゃん』愛と生(3)――『論理哲学論考』で語られる沈黙について

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坊っちゃん篇17 273.『坊っちゃん』愛と生(4)――『論理哲学論考』を口笛で吹く

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坊っちゃん篇18 274.『坊っちゃん』怒りの日々(1)――怒りの裏側には滑稽と書いてある

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坊っちゃん篇19 275.『坊っちゃん』怒りの日々(2)――怒りの裏側には「おれ」がいる

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坊っちゃん篇20 276.『坊っちゃん』怒りの日々(3)――書出しの1文字は「親」である

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坊っちゃん篇21 277.『坊っちゃん』怒りの日々(4)――お金と数字のマジック

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坊っちゃん篇22 278.『坊っちゃん』怒りの日々(5)――カレンダーの破綻はあるか

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坊っちゃん篇23 279.『坊っちゃん』1日1回(1)――勘太郎ふたたび

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坊っちゃん篇24 280.『坊っちゃん』1日1回(2)――芋が剥き出しになっている

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坊っちゃん篇25 281.『坊っちゃん』1日1回(3)――記念すべき最初の松山弁

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坊っちゃん篇26 282.『坊っちゃん』1日1回(4)――赤シャツも漱石も宿直免除

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坊っちゃん篇27 283.『坊っちゃん』1日1回(5)――日本一有名な無人

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坊っちゃん篇28 284.『坊っちゃん』1日1回(6)――土曜日午後の職員会議

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坊っちゃん篇29 285.『坊っちゃん』1日1回(7)――マドンナ野芹川の夜の遭難

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坊っちゃん篇30 286.『坊っちゃん』1日1回(8)――赤シャツと漱石の完全一致

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坊っちゃん篇31 287.『坊っちゃん』1日1回(9)――先生たちも寄宿舎の生徒に負けていない

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坊っちゃん篇32 288.『坊っちゃん』1日1回(10)――坊っちゃん最後の事件

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坊っちゃん篇33 289.『坊っちゃん』1日1回(11)――月齢が語る天誅の晨

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坊っちゃん篇34 290.『坊っちゃん』1日1回(12)――坊っちゃん最初で最後の嘘

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坊っちゃん篇35 291.『坊っちゃん』むすびに代えて――「おれ」と「私」の秘密

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坊っちゃん篇36 292.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダーなし

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坊っちゃん篇37 293.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダー付

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坊っちゃん篇38 294.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダーなし

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坊っちゃん篇39 295.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダー付

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 39 - 明石吟平の漱石ブログ

 

坊っちゃん篇40 296.『坊っちゃん』ブログ総目次

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇40-明石吟平の漱石ブログ

 

《 ブログ坊っちゃん 畢 》

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 39

295.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダー付

 

第1章 坊っちゃん (全5回)

(明治16年~明治38年/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜)

 

1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る

(明治16年1歳~明治28年13歳)

(P249-5/親譲りの無鉄砲で)

飛降事件~刃傷事件~勘太郎事件~人参畠事件~井戸埋立事件

 

2回 こいつはどうせ碌なものにはならない

(明治29年14歳~明治30年15歳)

(P251-6/おやじは些ともおれを)

家族の誰からも愛されない~母の死に目に会えず~下女清の登場~勘当事件(飛車投擲事件)~清だけが可愛がってくれる

 

3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった

(明治31年16歳~明治34年19歳)

(P253-7/母が死んでから清は愈おれを)

父と兄と男だけの味気ない生活~清の同情と異様な溺愛~3円借金事件

 

4回 六百円の使用法に就て寝ながら考えた

(明治35年20歳)

(P256-4/母が死んでから六年目の正月に)

父の死~財産整理~兄に600円貰う~清は50円貰う~兄との別れ~物理学校入学

 

5回 もう御別れになるかも知れません

(明治35年20歳~明治38年23歳/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜)

(P258-11/三年間まあ人並みに勉強は)

卒業~校長の呼び出し~中学校教師の口~清との別れ

 

第2章 到着 (全3回)

(明治38年9月4日月曜~9月5日火曜)

 

1回 松山初日に清の夢を見た

(9月4日月曜~9月5日火曜)

(P261-6/ぶうと云って汽船がとまると)

港屋で中学校の行き方を尋く~山城屋~港の鼻たれ小僧や宿の客引きや女中にも馬鹿にされる

 

2回 教員控所で1人ずつ辞令を見せた

(9月5日火曜)

(P264-4/学校は昨日車で乗りつけた)

全員に渾名を付けて遣った~狸・赤シャツ・うらなり・山嵐・漢学の爺さん・野だいこ

 

3回 早速清へ手紙を書く

(9月5日火曜)

(P268-1/挨拶が一通り済んだら)

授業は明後日から~階段下の部屋から大座敷へ~清への手紙~山嵐の急襲~いか銀へ宿替え~女房はウィッチに似ている

 

第3章 教室 (全3回)

(明治38年9月7日木曜~9月24日日曜)

 

1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし

(9月7日木曜)

(P270-13/愈学校へ出た)

最初の授業~あまり早くて分からんけれ~出来ん出来ん~お茶を淹れに来る宿の主人

 

2回 おい天麩羅を持って来い

(9月8日金曜~9月14日木曜)

(P274-5/それから毎日毎日学校へ)

骨董責め~其うち学校もいやになった~散歩中に蕎麦屋を見つけた~天麩羅蕎麦4杯

 

3回 住田温泉には遊郭も公園も団子屋もある

(9月15日金曜~9月24日日曜)

(P276-13/翌日何の気もなく教場へ)

天麩羅先生~天麩羅四杯但不可笑~天麩羅を食うと減らず口が~遊郭の団子~赤手拭~湯の中で泳ぐべからず

 

第4章 宿直事件 (全3回)

(明治38年9月25日月曜~9月26日火曜)

 

1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか

(9月25日月曜)

(P280-3/学校には宿直があって)

宿直当番の夕~汽車で温泉へ行く~なるべくゆっくり時間を潰す~停車場で狸と会う~横丁で山嵐と会う

 

2回 そりゃイナゴぞなもし

(9月25日月曜)

(P282-11/夫から日はすぐくれる)

バッタ事件~詰問~イナゴのせいにして白を切る生徒~清の有難味がよく分かる

 

3回 世の中に正直が勝たないで外に勝つものがあるか

(9月25日月曜~9月26日火曜)

(P287-10/清の事を考えながら)

咄喊事件~夢ではない~2階へ突撃~罠で向う脛を負傷~籠城覚悟~つい寝てしまう~詰問Ⅱ~校長登場~蚊に食われ顔中腫れる

 

第5章 ターナー島 (全3回)

(明治38年9月29日金曜)

 

1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った

(9月29日金曜)

(P292-6/君釣りに行きませんか)

赤シャツ野だと課業後沖釣りへ~鮪の二匹や三匹~ターナー島の景色~マドンナとは何か

 

2回 清を連れてこんな美しい所へ遊びに来たい

(9月29日金曜)

(P295-13/此所らがいいだろうと船頭は)

沖釣りは錘と糸と針だけ~鰹の一匹くらい~一番槍でゴルキを釣るが胴の間に叩きつけたら死んでしまった~赤シャツと野だもゴルキばかり~寝ころんで空を見ながら清のことを考える~山嵐を讒訴するような赤シャツと野だの内緒話

 

3回 さあ君は率直だからまだ経験に乏しいと云うんですがね

(9月29日金曜)

(P300-13/船は静かな海を岸へ漕ぎ戻る)

山嵐に気を付けろという謎かけ~赤シャツのアドバイス坊っちゃんの書生論

 

第6章 職員会議 (全5回)

(明治38年9月29日金曜~9月30日土曜)

 

1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう

(9月29日金曜~9月30日土曜)

(P304-15/野だは大嫌だ。こんな奴は)

赤シャツは弱虫に極まっている~弱虫は(女のように)親切なもの~山嵐には氷水の1銭5厘返しておこう~坊っちゃんは膏っ手~昨日は失敬迷惑でしたろう~これから山嵐と談判するつもり~君そんな無法をしちゃ困る~君大丈夫かい

 

2回 山嵐との大喧嘩

(9月30日土曜)

(P309-1/所へ両隣りの机の所有主も)

おや山嵐の癖にどこ迄も奢る気だな~氷水の代は受け取るが下宿は出て呉れ~下宿料の十円や十五円は懸物を一幅売りゃすぐ浮いてくるって云ってたぜ

 

3回 職員会議の午後

(9月30日土曜)

(P312-2/午後は先夜おれに対して)

校長とは煮え切らない愚図の異名~山嵐の顔は小日向の養源寺にある韋駄天の絵に似ている~うらなり君の遅刻~狸の挨拶は謝罪から~すべては自分の寡徳の致す所

 

4回 私は徹頭徹尾反対です。そんな頓珍漢な処分は大嫌いです

(9月30日土曜)

(P315-12/おれはじれったく成ったから)

沈黙の会議室~赤シャツの長談義~野だの阿諛追従~坊っちゃんの発言に一同失笑~流れは教頭派に

 

5回 山嵐吠える

(9月30日土曜)

(P318-8/すると今迄だまって聞いて)

山嵐がおれの言いたいことを全部言ってくれた~宿直中に温泉へ行ったことも追加で指摘された~坊っちゃんの謝罪に一同また失笑~最後に大失言「マドンナに逢うのも精神的娯楽ですか」

 

第7章 マドンナ (全5回)

(明治38年9月30日土曜~10月9日月曜)

 

1回 萩野の家へ宿替え

(9月30日土曜~10月6日金曜)

(P322-6/おれは則夜下宿を引き払った)

いか銀の女房の狼狽~士族屋敷で下宿探し~うらなりの家を訪ねる~その夜から萩野の家の下宿人となる~清からの手紙を待ちわびる~萩野の婆さんの世間話

 

2回 渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものがいない

(10月6日金曜)

(P326-4/「然し今時の女子は昔と違うて)

婆さんの語るマドンナとうらなりの婚約事件~赤シャツの横槍~山嵐の仲介~赤シャツと山嵐の確執

 

3回 やっと届いた清からの手紙

(10月6日金曜~10月9日月曜)

(P329-9/分り過ぎて困る位だ)

山嵐て何ぞなもし~符箋つきの清の手紙を読む~もし渾名をつけたら清だけに知らせろ~お小遣いがなくて困るかも知れないから為替で10円あげる~芋責めの食事を生卵でしのぐ

 

4回 マドンナ初登場

(10月9日月曜)

(P333-6/今日は清の手紙で湯へ)

停車場でうらなりと会う~遠山の母娘登場~赤シャツも来る~金鎖りと金側の赤シャツの時計~上等の切符で下等の車輛に乗り込む

 

5回 野芹川の散歩デート

(10月9日月曜)

(P336-13/温泉へ着いて三階から)

温泉を出て散歩する~化物が寄り合う物騒な世界~早く切り上げて東京へ帰りたい~野芹川の堤で赤シャツとマドンナに出くわす

 

第8章 赤シャツ (全4回)

(明治38年10月10日火曜~10月13日金曜)

 

1回 赤シャツと山嵐

(10月10日火曜~10月13日金曜)

(P340-3/赤シャツに勧められて釣に)

いいえ僕はあっちへは行かない湯に入ってすぐ帰った~赤シャツは嘘つきだ~机の上に置いたままの1銭5厘~山嵐とはまだ仲直り出来ないのに赤シャツとは交際する

 

2回 赤シャツの家で昇給話を聞く

(10月13日金曜)

(P326-4/赤シャツに逢って用事を)

赤シャツの家に呼ばれて行く~赤シャツの家には弟がいる~増給の話~うらなりの転勤話~数学主任のほのめかし~君俳句をやりますか

 

3回 萩野の婆さん再び

(10月13日金曜)

(P345-13/所へ不相変婆さんが夕食を)

うらなりの転勤は赤シャツと校長の陰謀~誰が上がってやるもんか~先生は月給が御上りるのかなもし

 

4回 増給を断る奴が世の中にたった一人飛び出して来た

(10月13日金曜)

(P349-5/小倉の袴をつけて又出掛けた)

赤シャツの家にまた行く~野だが来ている~赤シャツの顔は金時のようだ~増給を断る~赤シャツの御談義ふたたび

 

第9章 送別会の夜 (全4回)

(明治38年10月16日月曜)

 

1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ

(10月16日月曜)

(P353-12/うらなり君の送別会のある)

山嵐の謝罪~1銭5厘撤収~仲直り~酒なんか飲む奴は馬鹿だ~山嵐を家に呼ぶ~送別会でうらなりを応援したい~赤シャツの悪行を暴きたい

 

2回 送別会始まる

(10月16日月曜)

(P357-11/おれは余り感心したから)

送別会は花晨亭の50畳敷~あれは瀬戸物じゃありません伊万里です~山嵐の稲光にべっかんこうで応える

 

3回 山嵐の送別の言葉

(10月16日月曜)

(P360-12/赤シャツが席に復するのを)

美しい顔をして人を陥れるようなハイカラ野郎は延岡には1人もいない~不貞無節なる御転婆を慚死せしめんことを~うらなりの態度はまるで聖人~宴席は大分乱れてきた

 

4回 狂乱の十五畳敷

(10月16日月曜)

(P364-13/所へ御座敷はこちら?と芸者)

校長に続いて赤シャツも退席~芸者も混じって大宴会~赤シャツの馴染みの芸者は鈴ちゃん~越中褌の裸踊り~野だをぽかりと殴る~山嵐は野だを払い倒す

 

第10章 祝勝会の夜 (全4回)

(明治38年10月23日月曜)

 

1回 祝勝会に生徒を引率

(10月23日月曜)

(P368-8/祝勝会で学校は御休みだ)

こんな奴等と一緒では人間が堕落するばかり~早く東京へ帰って清と暮らしたい~日本人は皆口から先へ生まれた

 

2回 山嵐が牛肉を持って訪れる

(10月23日月曜)

(P371-14/祝勝会の式は頗る簡単なもので)

清に手紙を書こうとしたが1字も書けない~庭にある1本の蜜柑の木~湯島のかげまた何だ~君そこの所はまだ煮えていないぜ~赤シャツには馴染みの芸者がいる~赤シャツ退治の秘策

 

3回 祝勝会の余興

(10月23日月曜)

(P376-2/おれと山嵐がしきりに)

赤シャツの弟が山嵐を誘いに来た~くす玉の花火が上がる~太鼓と真剣による高知の踊り

 

4回 師範と中学の乱闘騒ぎに巻き込まれる

(10月23日月曜)

(P379-5/おれと山嵐が感心のあまり)

赤シャツの弟が先生喧嘩ですと呼びに来る~止めに入る山嵐坊っちゃん~巡査に捕まったのは2人だけ

 

第11章 天誅 (全6回)

(明治38年10月24日火曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

 

1回 今朝の新聞を御見たかなもし

(10月24日火曜)

(P382-3/あくる日眼が覚めて見ると)

近頃東京から赴任した生意気なる某~再び教育界に足を入るる余地なからしむる~いや昨日は御手柄で~名誉の御負傷でげすか~赤シャツは自分の弟が誘ったせいだと弁明して回る

 

2回 新聞に書かれるのは泥亀に喰い付かれるようなもの

(10月24日火曜~10月26日木曜)

(P385-11/帰りがけに山嵐は)

赤シャツの策に乗ったようだ~わるくすると遣られるかも知れない~一度新聞に書かれるとどうすることも出来ない

 

3回 履歴なんか構うもんですか履歴より義理が大切です

(10月30日月曜~10月31日火曜)

(P388-4/夫から三日許りしてある日の)

山嵐は校長に処決を求められた~誰が両立してやるもんか~校長室での談判~辞職されてもいいから代わりのあるまでどうかやってもらいたい

 

4回 奥さんの御ありるのに夜遊びはおやめたがええぞなもし

(11月1日水曜~11月8日水曜)

(P391-4/山嵐は愈辞表を出して)

山嵐退職~枡屋の2階から角屋を見張る~1週間頑張っていい加減飽きてきた~八日目に山嵐は眼を輝かせた~小鈴の入るのを見たという

 

5回 増給が嫌だの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない

(11月8日水曜~11月9日木曜)

(P394-7/世間は大分静かになった)

赤シャツと野だがやっと現れる~坊っちゃんの悪口を言っている~朝5時までの辛い監視~角屋から出て来た2人を尾行~城下をはずれたところで襲撃~野だの顔へ玉子を叩きつける

 

6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

(11月9日木曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

(P397-13/おれが玉子をたたきつけて)

山嵐は赤シャツを坊っちゃんは野だをぽかぽか殴る~7時下宿に帰って荷造りして出る~汽車で港屋へ~退職届を投函~山嵐と午後2時まで寝た~夜6時の汽船で出立~上京と後日譚

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 38

294.『坊っちゃん』全45回詳細目次――カレンダーなし

 

 先にも断った通り回数分けやそのタイトルは勝手に付けたものである。回数分けのガイドとなる頁の表示は、岩波書店版『定本漱石』第2巻(2017年1月初版)に拠った。

 

第1章 坊っちゃん (全5回)

 

1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る

(P249-5/親譲りの無鉄砲で)

飛降事件~刃傷事件~勘太郎事件~人参畠事件~井戸埋立事件

 

2回 こいつはどうせ碌なものにはならない

(P251-6/おやじは些ともおれを)

家族の誰からも愛されない~母の死に目に会えず~下女清の登場~勘当事件(飛車投擲事件)~清だけが可愛がってくれる

 

3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった

(P253-7/母が死んでから清は愈おれを)

父と兄と男だけの味気ない生活~清の同情と異様な溺愛~3円借金事件

 

4回 六百円の使用法に就て寝ながら考えた

(P256-4/母が死んでから六年目の正月に)

父の死~財産整理~兄に600円貰う~清は50円貰う~兄との別れ~物理学校入学

 

5回 もう御別れになるかも知れません

(P258-11/三年間まあ人並みに勉強は)

卒業~校長の呼び出し~中学校教師の口~清との別れ

 

第2章 到着 (全3回)

 

1回 松山初日に清の夢を見た

(P261-6/ぶうと云って汽船がとまると)

港屋で中学校の行き方を尋く~山城屋~港の鼻たれ小僧や宿の客引きや女中にも馬鹿にされる

 

2回 教員控所で1人ずつ辞令を見せた

(P264-4/学校は昨日車で乗りつけた)

全員に渾名を付けて遣った~狸・赤シャツ・うらなり・山嵐・漢学の爺さん・野だいこ

 

3回 早速清へ手紙を書く

(P268-1/挨拶が一通り済んだら)

授業は明後日から~階段下の部屋から大座敷へ~清への手紙~山嵐の急襲~いか銀へ宿替え~女房はウィッチに似ている

 

第3章 教室 (全3回)

 

1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし

(P270-13/愈学校へ出た)

最初の授業~あまり早くて分からんけれ~出来ん出来ん~お茶を淹れに来る宿の主人

 

2回 おい天麩羅を持って来い

(P274-5/それから毎日毎日学校へ)

骨董責め~其うち学校もいやになった~散歩中に蕎麦屋を見つけた~天麩羅蕎麦4杯

 

3回 住田温泉には遊郭も公園も団子屋もある

(P276-13/翌日何の気もなく教場へ)

天麩羅先生~天麩羅四杯但不可笑~天麩羅を食うと減らず口が~遊郭の団子~赤手拭~湯の中で泳ぐべからず

 

第4章 宿直事件 (全3回)

 

1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか

(P280-3/学校には宿直があって)

宿直当番の夕~汽車で温泉へ行く~なるべくゆっくり時間を潰す~停車場で狸と会う~横丁で山嵐と会う

 

2回 そりゃイナゴぞなもし

(P282-11/夫から日はすぐくれる)

バッタ事件~詰問~イナゴのせいにして白を切る生徒~清の有難味がよく分かる

 

3回 世の中に正直が勝たないで外に勝つものがあるか

(P287-10/清の事を考えながら)

咄喊事件~夢ではない~2階へ突撃~罠で向う脛を負傷~籠城覚悟~つい寝てしまう~詰問Ⅱ~校長登場~蚊に食われ顔中腫れる

 

第5章 ターナー島 (全3回)

 

1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った

(P292-6/君釣りに行きませんか)

赤シャツ野だと課業後沖釣りへ~鮪の二匹や三匹~ターナー島の景色~マドンナとは何か

 

2回 清を連れてこんな美しい所へ遊びに来たい

(P295-13/此所らがいいだろうと船頭は)

沖釣りは錘と糸と針だけ~鰹の一匹くらい~一番槍でゴルキを釣るが胴の間に叩きつけたら死んでしまった~赤シャツと野だもゴルキばかり~寝ころんで空を見ながら清のことを考える~山嵐を讒訴するような赤シャツと野だの内緒話

 

3回 さあ君は率直だからまだ経験に乏しいと云うんですがね

(P300-13/船は静かな海を岸へ漕ぎ戻る)

山嵐に気を付けろという謎かけ~赤シャツのアドバイス坊っちゃんの書生論

 

第6章 職員会議 (全5回)

 

1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう

(P304-15/野だは大嫌だ。こんな奴は)

赤シャツは弱虫に極まっている~弱虫は(女のように)親切なもの~山嵐には氷水の1銭5厘返しておこう~坊っちゃんは膏っ手~昨日は失敬迷惑でしたろう~これから山嵐と談判するつもり~君そんな無法をしちゃ困る~君大丈夫かい

 

2回 山嵐との大喧嘩

(P309-1/所へ両隣りの机の所有主も)

おや山嵐の癖にどこ迄も奢る気だな~氷水の代は受け取るが下宿は出て呉れ~下宿料の十円や十五円は懸物を一幅売りゃすぐ浮いてくるって云ってたぜ

 

3回 職員会議の午後

(P312-2/午後は先夜おれに対して)

校長とは煮え切らない愚図の異名~山嵐の顔は小日向の養源寺にある韋駄天の絵に似ている~うらなり君の遅刻~狸の挨拶は謝罪から~すべては自分の寡徳の致す所

 

4回 私は徹頭徹尾反対です。そんな頓珍漢な処分は大嫌いです

(P315-12/おれはじれったく成ったから)

沈黙の会議室~赤シャツの長談義~野だの阿諛追従~坊っちゃんの発言に一同失笑~流れは教頭派に

 

5回 山嵐吠える

(P318-8/すると今迄だまって聞いて)

山嵐がおれの言いたいことを全部言ってくれた~宿直中に温泉へ行ったことも追加で指摘された~坊っちゃんの謝罪に一同また失笑~最後に大失言「マドンナに逢うのも精神的娯楽ですか」

 

第7章 マドンナ (全5回)

 

1回 萩野の家へ宿替え

(P322-6/おれは則夜下宿を引き払った)

いか銀の女房の狼狽~士族屋敷で下宿探し~うらなりの家を訪ねる~その夜から萩野の家の下宿人となる~清からの手紙を待ちわびる~萩野の婆さんの世間話

 

2回 渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものがいない

(P326-4/「然し今時の女子は昔と違うて)

婆さんの語るマドンナとうらなりの婚約事件~赤シャツの横槍~山嵐の仲介~赤シャツと山嵐の確執

 

3回 やっと届いた清からの手紙

(P329-9/分り過ぎて困る位だ)

山嵐て何ぞなもし~符箋つきの清の手紙を読む~もし渾名をつけたら清だけに知らせろ~お小遣いがなくて困るかも知れないから為替で10円あげる~芋責めの食事を生卵でしのぐ

 

4回 マドンナ初登場

(P333-6/今日は清の手紙で湯へ)

停車場でうらなりと会う~遠山の母娘登場~赤シャツも来る~金鎖りと金側の赤シャツの時計~上等の切符で下等の車輛に乗り込む

 

5回 野芹川の散歩デート

(P336-13/温泉へ着いて三階から)

温泉を出て散歩する~化物が寄り合う物騒な世界~早く切り上げて東京へ帰りたい~野芹川の堤で赤シャツとマドンナに出くわす

 

第8章 赤シャツ (全4回)

 

1回 赤シャツと山嵐

(P340-3/赤シャツに勧められて釣に)

いいえ僕はあっちへは行かない湯に入ってすぐ帰った~赤シャツは嘘つきだ~机の上に置いたままの1銭5厘~山嵐とはまだ仲直り出来ないのに赤シャツとは交際する

 

2回 赤シャツの家で昇給話を聞く

(P326-4/赤シャツに逢って用事を)

赤シャツの家に呼ばれて行く~赤シャツの家には弟がいる~増給の話~うらなりの転勤話~数学主任のほのめかし~君俳句をやりますか

 

3回 萩野の婆さん再び

(P345-13/所へ不相変婆さんが夕食を)

うらなりの転勤は赤シャツと校長の陰謀~誰が上がってやるもんか~先生は月給が御上りるのかなもし

 

4回 増給を断る奴が世の中にたった一人飛び出して来た

(P349-5/小倉の袴をつけて又出掛けた)

赤シャツの家にまた行く~野だが来ている~赤シャツの顔は金時のようだ~増給を断る~赤シャツの御談義ふたたび

 

第9章 送別会の夜 (全4回)

 

1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ

(P353-12/うらなり君の送別会のある)

山嵐の謝罪~1銭5厘撤収~仲直り~酒なんか飲む奴は馬鹿だ~山嵐を家に呼ぶ~送別会でうらなりを応援したい~赤シャツの悪行を暴きたい

 

2回 送別会始まる

(P357-11/おれは余り感心したから)

送別会は花晨亭の50畳敷~あれは瀬戸物じゃありません伊万里です~山嵐の稲光にべっかんこうで応える

 

3回 山嵐の送別の言葉

(P360-12/赤シャツが席に復するのを)

美しい顔をして人を陥れるようなハイカラ野郎は延岡には1人もいない~不貞無節なる御転婆を慚死せしめんことを~うらなりの態度はまるで聖人~宴席は大分乱れてきた

 

4回 狂乱の十五畳敷

(P364-13/所へ御座敷はこちら?と芸者)

校長に続いて赤シャツも退席~芸者も混じって大宴会~赤シャツの馴染みの芸者は鈴ちゃん~越中褌の裸踊り~野だをぽかりと殴る~山嵐は野だを払い倒す

 

第10章 祝勝会の夜 (全4回)

 

1回 祝勝会に生徒を引率

(P368-8/祝勝会で学校は御休みだ)

こんな奴等と一緒では人間が堕落するばかり~早く東京へ帰って清と暮らしたい~日本人は皆口から先へ生まれた

 

2回 山嵐が牛肉を持って訪れる

(P371-14/祝勝会の式は頗る簡単なもので)

清に手紙を書こうとしたが1字も書けない~庭にある1本の蜜柑の木~湯島のかげまた何だ~君そこの所はまだ煮えていないぜ~赤シャツには馴染みの芸者がいる~赤シャツ退治の秘策

 

3回 祝勝会の余興

(P376-2/おれと山嵐がしきりに)

赤シャツの弟が山嵐を誘いに来た~くす玉の花火が上がる~太鼓と真剣による高知の踊り

 

4回 師範と中学の乱闘騒ぎに巻き込まれる

(P379-5/おれと山嵐が感心のあまり)

赤シャツの弟が先生喧嘩ですと呼びに来る~止めに入る山嵐坊っちゃん~巡査に捕まったのは2人だけ

 

第11章 天誅 (全6回)

 

1回 今朝の新聞を御見たかなもし

(P382-3/あくる日眼が覚めて見ると)

近頃東京から赴任した生意気なる某~再び教育界に足を入るる余地なからしむる~いや昨日は御手柄で~名誉の御負傷でげすか~赤シャツは自分の弟が誘ったせいだと弁明して回る

 

2回 新聞に書かれるのは泥亀に喰い付かれるようなもの

(P385-11/帰りがけに山嵐は)

赤シャツの策に乗ったようだ~わるくすると遣られるかも知れない~一度新聞に書かれるとどうすることも出来ない

 

3回 履歴なんか構うもんですか履歴より義理が大切です

(P388-4/夫から三日許りしてある日の)

山嵐は校長に処決を求められた~誰が両立してやるもんか~校長室での談判~辞職されてもいいから代わりのあるまでどうかやってもらいたい

 

4回 奥さんの御ありるのに夜遊びはおやめたがええぞなもし

(P391-4/山嵐は愈辞表を出して)

山嵐退職~枡屋の2階から角屋を見張る~1週間頑張っていい加減飽きてきた~八日目に山嵐は眼を輝かせた~小鈴の入るのを見たという

 

5回 増給が嫌だの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない

(P394-7/世間は大分静かになった)

赤シャツと野だがやっと現れる~坊っちゃんの悪口を言っている~朝5時までの辛い監視~角屋から出て来た2人を尾行~城下をはずれたところで襲撃~野だの顔へ玉子を叩きつける

 

6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

(P397-13/おれが玉子をたたきつけて)

山嵐は赤シャツを坊っちゃんは野だをぽかぽか殴る~7時下宿に帰って荷造りして出る~汽車で港屋へ~退職届を投函~山嵐と午後2時まで寝た~夜6時の汽船で出立~上京と後日譚

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 37

293.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダー付

 

第1章 坊っちゃん (全5回)

(明治16年~明治38年/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜)

 

1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る

(明治16年1歳~明治28年13歳)

2回 こいつはどうせ碌なものにはならない

(明治29年14歳~明治30年15歳)

3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった

(明治31年16歳~明治34年19歳)

4回 六百円の使用法に就て寝ながら考えた

(明治35年20歳)

5回 もう御別れになるかも知れません

(明治35年20歳~明治38年23歳/明治38年8月31日木曜~9月2日土曜)

 

第2章 到着 (全3回)

(明治38年9月4日月曜~9月5日火曜)

 

1回 松山初日に清の夢を見た

(9月4日月曜~9月5日火曜)

2回 教員控所で1人ずつ辞令を見せた

(9月5日火曜)

3回 早速清へ手紙を書く

(9月5日火曜)

 

第3章 教室 (全3回)

(明治38年9月7日木曜~9月24日日曜)

 

1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし

(9月7日木曜)

2回 おい天麩羅を持って来い

(9月8日金曜~9月14日木曜)

3回 住田温泉には遊郭も公園も団子屋もある

(9月15日金曜~9月24日日曜)

 

第4章 宿直事件 (全3回)

(明治38年9月25日月曜~9月26日火曜)

 

1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか

(9月25日月曜)

2回 そりゃイナゴぞなもし

(9月25日月曜)

3回 世の中に正直が勝たないで外に勝つものがあるか

(9月25日月曜~9月26日火曜)

 

第5章 ターナー島 (全3回)

(明治38年9月29日金曜)

 

1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った

(9月29日金曜)

2回 清を連れてこんな美しい所へ遊びに来たい

(9月29日金曜)

3回 さあ君は率直だからまだ経験に乏しいと云うんですがね

(9月29日金曜)

 

第6章 職員会議 (全5回)

(明治38年9月29日金曜~9月30日土曜)

 

1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう

(9月29日金曜~9月30日土曜)

2回 山嵐との大喧嘩

(9月30日土曜)

3回 職員会議の午後

(9月30日土曜)

4回 私は徹頭徹尾反対です。そんな頓珍漢な処分は大嫌いです

(9月30日土曜)

5回 山嵐吠える

(9月30日土曜)

 

第7章 マドンナ (全5回)

(明治38年9月30日土曜~10月9日月曜)

 

1回 萩野の家へ宿替え

(9月30日土曜~10月6日金曜)

2回 渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものがいない

(10月6日金曜)

3回 やっと届いた清からの手紙

(10月6日金曜~10月9日月曜)

4回 マドンナ初登場

(10月9日月曜)

5回 野芹川の散歩デート

(10月9日月曜)

 

第8章 赤シャツ (全4回)

(明治38年10月10日火曜~10月13日金曜)

 

1回 赤シャツと山嵐

(10月10日火曜~10月13日金曜)

2回 赤シャツの家で昇給話を聞く

(10月13日金曜)

3回 萩野の婆さん再び

(10月13日金曜)

4回 増給を断る奴が世の中にたった一人飛び出して来た

(10月13日金曜)

 

第9章 送別会の夜 (全4回)

(明治38年10月16日月曜)

 

1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ

(10月16日月曜)

2回 送別会始まる

(10月16日月曜)

3回 山嵐の送別の言葉

(10月16日月曜)

4回 狂乱の十五畳敷

(10月16日月曜)

 

第10章 祝勝会の夜 (全4回)

(明治38年10月23日月曜)

 

1回 祝勝会に生徒を引率

(10月23日月曜)

2回 山嵐が牛肉を持って訪れる

(10月23日月曜)

3回 祝勝会の余興

(10月23日月曜)

4回 師範と中学の乱闘騒ぎに巻き込まれる

(10月23日月曜)

 

第11章 天誅 (全6回)

(明治38年10月24日火曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

 

1回 今朝の新聞を御見たかなもし

(10月24日火曜)

2回 新聞に書かれるのは泥亀に喰い付かれるようなもの

(10月24日火曜~10月26日木曜)

3回 履歴なんか構うもんですか履歴より義理が大切です

(10月30日月曜~10月31日火曜)

4回 奥さんの御ありるのに夜遊びはおやめたがええぞなもし

(11月1日水曜~11月8日水曜)

5回 増給が嫌だの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない

(11月8日水曜~11月9日木曜)

6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

(11月9日木曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 36

292.『坊っちゃん』全45回目次――カレンダーなし

 

第1章 坊っちゃん (全5回)

 

1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る

2回 こいつはどうせ碌なものにはならない

3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった

4回 六百円の使用法に就て寝ながら考えた

5回 もう御別れになるかも知れません

 

第2章 到着 (全3回)

 

1回 松山初日に清の夢を見た

2回 教員控所で1人ずつ辞令を見せた

3回 早速清へ手紙を書く

 

第3章 教室 (全3回)

 

1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし

2回 おい天麩羅を持って来い

3回 住田温泉には遊郭も公園も団子屋もある

 

第4章 宿直事件 (全3回)

 

1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか

2回 そりゃイナゴぞなもし

3回 世の中に正直が勝たないで外に勝つものがあるか

 

第5章 ターナー島 (全3回)

 

1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った

2回 清を連れてこんな美しい所へ遊びに来たい

3回 さあ君は率直だからまだ経験に乏しいと云うんですがね

 

第6章 職員会議 (全5回)

 

1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう

2回 山嵐との大喧嘩

3回 職員会議の午後

4回 私は徹頭徹尾反対です。そんな頓珍漢な処分は大嫌いです

5回 山嵐吠える

 

第7章 マドンナ (全5回)

 

1回 萩野の家へ宿替え

2回 渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものがいない

3回 やっと届いた清からの手紙

4回 マドンナ初登場

5回 野芹川の散歩デート

 

第8章 赤シャツ (全4回)

 

1回 赤シャツと山嵐

2回 赤シャツの家で昇給話を聞く

3回 萩野の婆さん再び

4回 増給を断る奴が世の中にたった一人飛び出して来た

 

第9章 送別会の夜 (全4回)

 

1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ

2回 送別会始まる

3回 山嵐の送別の言葉

4回 狂乱の十五畳敷

 

第10章 祝勝会の夜 (全4回)

 

1回 祝勝会に生徒を引率

2回 山嵐が牛肉を持って訪れる

3回 祝勝会の余興

4回 師範と中学の乱闘騒ぎに巻き込まれる

 

第11章 天誅 (全6回)

 

1回 今朝の新聞を御見たかなもし

2回 新聞に書かれるのは泥亀に喰い付かれるようなもの

3回 履歴なんか構うもんですか履歴より義理が大切です

4回 奥さんの御ありるのに夜遊びはおやめたがええぞなもし

5回 増給が嫌だの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない

6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 35

291.『坊っちゃん』むすびに代えて――「おれ」と「私」の秘密

 

 宇宙船ともいえる漱石文学の航路に、限りない可能性を残して『坊っちゃん』は閉じられたが、それで本ブログ冒頭の宿題、以前の項(第19項)でも触れた『坊っちゃん』と『心』の共通点の話であるが、

 

 1人称小説。

 主人公(語り手)に名前(戸籍名)がない。

 現代日本で1、2を争う名作。

 書いているうちにだんだん長くなった。

 

 この4点に続く第5の共通点は、

 

 最後に大切な人が死ぬ。

 

 ということになる。

 

 『猫』も最後に語り手が死んでいるではないかと言う人がいるかもしれない。しかしあれはビールを舐めた斑猫が、甕に落ちて念仏(南無阿弥陀仏)を唱えただけである。『猫』の続篇が書かれれば、おさんによって甕から抓み上げられた吾輩が、びしょ濡れになった身体をぶるんと震わせ、そこら中を水だらけにして、苦沙弥に力一杯叩かれるというシーンから始まることは目に見えている。おさんの習慣として本格的に就寝する前には、台所にもう一度来て、火が完全に消えているか必ず確認するのである。加えてそもそも吾輩は人ではない。

 

 では『猫』はいいとしても、『虞美人草』は明らかに該当していないか。藤尾は坊っちゃんの親爺と同じ、急性の脳あるいは心臓の血管事故によって死んでしまった。しかし藤尾は那美さんよりは金田富子の方に近い仇役であり、『虞美人草』は漱石にとって2度と読み返したくない失敗作である。例えば木曜会のときに弟子の誰かが、「藤尾が服毒したときに誰某は云々――」と話し掛けて来ても、漱石は(厭な顔はするとしても)うんうんと聞いて、ふつうに答えたと思われる。決して「藤尾は毒なんか持ってやしないよ。即死できる毒といや青酸カリかい。そんなものどこに売ってるんだ」などとは言わないだろう。反対に誰かが「藤尾が心臓マヒを起こすほどのショック云々――」と言っても、漱石は「ああそうかい」で済ませたであろう。つまり『虞美人草』では藤尾は「大切な人」ではないのである。

 

 『明暗』のお延については意見の別れるところかも知れない。お延の行く末に死の影を見る読者も少なくない。しかし『心』で漱石自身も書いているように、「自分で死ぬ死ぬっていう人に死んだ試しはない」のである。お延は最後に臍を嚙むような思いをするにしても、決して死を択んだりしない(はずである)。仮にお延が死んだとして、ヴィトゲンシュタインではないが、それで(『明暗』の)世界が何か変わるとでもいうのか。「嬉しいところなんか始めからないんですから」と嘯く津田にとって、お延の死はせいぜい(漱石の父や兄のように)再婚のスタート台に過ぎまい。津田にとってむしろお延との(くそ面白くもない)夫婦生活の完遂(に向けた覚悟)の方が、この作品のめざす、あるいは陥ちこむゴールに相応しい。

 

 これに対抗できるのはやはり『心』だけか。『心』の先生は最後に長い(小説『坊っちゃん』くらいの長さの)手紙を書いた。

 当の坊っちゃんは手紙についてこんな述懐をしている。

 

 おれは墨を磨って、筆をしめして、巻紙を睨めて、――巻紙を睨めて、筆をしめして、墨を磨って――同じ所作を同じ様に何返も繰り返したあと、おれには、とても手紙はかけるものではないと、諦らめて硯の蓋をして仕舞った。手紙なんぞをかくのは面倒臭い。矢っ張り東京迄出掛けて行って、逢って話をするのが簡便だ。清の心配は察しないでもないが、清の注文通りの手紙を書くのは三七日の断食よりも苦しい。

 おれは筆と巻紙を抛り出して、ごろりと転がって肱枕をして庭の方を眺めて見たが、矢っ張り清の事が気にかかる。其時おれはこう思った。こうして遠くへ来て迄、清の身の上を案じていてやりさえすれば、おれの真心は清に通じるに違いない。通じさえすれば手紙なんぞやる必要はない。やらなければ無事で暮してると思ってるだろう。たよりは死んだ時か病気の時か、何か事の起った時にやりさえすればいい訳だ。(『坊っちゃん』第10章2回)

 

 坊っちゃんは愛する者への手紙の必要性は無いと言っている。しかしこの書き振りからは、とてもそうは思えない。あの癇癪持ちの坊っちゃんが同じ所作を何回も繰り返したと書かれる。

 やはり『坊っちゃん』という独白小説は、天国の清に向けた手記だったのだろうか。

 漱石はこうは書いたものの、8年後の『心』ではその本音を吐露するかのように、先生は全56回(正確にはプラスもう1回)の「手紙」を書いた。今回『坊っちゃん』の(仮にだが)全45回は、その言い訳を、あるいは預言を、(8年前に)わざわざしていたようなものである。

 ちなみに『心』の連載回数が『坊っちゃん』より多いのは、執筆の勢いの違いと、何より『心』のときは志賀直哉のドタキャンで連載の引き延ばしを考えていたせいもあろう。色んな事情に関係なく優れた作品に仕上がってしまうのが漱石の常である。

 

 それより気になるのは、引用文太字で示した、「遠くから清の身を案じてさえいれば真心は清に通じる」という坊っちゃんの奇妙な楽観論である。これが漱石のものでないことは漱石ファンでなくても自明であろう。その頃書かれた習作に多くこの傾向のものが見られるといっても、漱石は(コナンドイルのような)心霊現象信奉者ではない。むしろ合理主義者漱石にとって、精霊の存在を信じたことなど一瞬たりともなかったと言える。(その手の話を怖がったというのは、信じていたから怖がったのではなく、話の底に潜む人間の暗黒部分を感じるからであろう。)

 ではなぜこんな記述になったのか。

 坊っちゃんは、ここでも自分の正邪の観念に囚われ過ぎて、清の身上を案じるという自分の行為(心情)にのみ心を奪われていたのだろう。自分さえ間違っていなければ後のことは瑣事である。

 自分の行ないが正しければそれは他者にも通じる。

 これが漱石の倫理観である。漱石の倫理は汎く弟子たちに受け容れられた。しかし家族に受け容れられることはなかった。家族の中、夫婦の中では、「正しい」「間違っていない」などということよりもっと別の価値観の方が大切なのであろう。

 

 最後にもう1つ。ここまで書いて来て切に思うのは、『坊っちゃん』と『心』を結びつけるものは、やはり(の)1人称小説ということであろうか。「おれ」で始まった漱石の小説世界は「私」を以って(いったん)閉じられた。

 その意味で『道草』からの3部作は、漱石にとってまた新たなスタートになったはずである。その最後の幻の作品は、内容については前著でも述べたことがあるが、外形的には、健三-津田-お延に連なる3人称小説になることだけは確言できる。

 3人称の小説を書くと精神的に俗了してしまう(と漱石は言っている)。『明暗』が思ったより長くなった執筆期間の後半、漱石はリフレッシュのためと称して1日1首、とまではいかないがそれに近い勤勉さで漢詩を作った。漱石にとって漢詩がなぜリフレッシュになるのだろうか。漢詩には主語がない。主格がない。誰のことを詠んでいるか明確であっても、それを書き込む必要がない。思うに漢詩は(俳句も含めた詩歌全般は)、究極の1人称文芸であるからであろう。

 1人称で書くとストレスにならない。かどうかは別としても、その1人称小説の代表が『坊っちゃん』と『心』ということになる。

 

 ここでくどいようだがもう一度、『坊っちゃんターナー島の場面から、坊っちゃんの詩人たる証拠の文章を掲げてみる。

 

 青空を見て居ると、日の光が段々弱って来て、少しはひやりとする風が吹き出した。線香の烟の様な雲が、透き徹る底の上を静かに伸して行ったと思ったら、いつしか底の奥に流れ込んで、うすくもやを掛けた様になった

もう帰ろうかと赤シャツが思い出した様に云うと、ええ丁度時分ですね。今夜はマドンナの君に御逢いですかと野だが云う。赤シャツは馬鹿あ云っちゃいけない、間違いになると、船縁に身を倚たした奴を、少し起き直る。・・・(『坊っちゃん』第5章再掲)

 

 断るまでもないが、この文章は間違いなく(文学の苦手な)坊っちゃんが語っているのである。これはそのまま漱石漢詩の世界にスライドしておかしくない。

 じじつ明治45年7月、大帝崩御の頃横山大観に贈った五言絶句があるが、その後半に曰く、

 

 信手時揮灑 雲煙筆底生

 

 漱石全集(第18巻漢詩文)による読み下し文は以下の通り。

 

 手に信(まか)せて 時に揮灑(きさい)すれば 雲煙 筆底より生ず

 

 苦しんで作った(と言われている)このときの漢詩であるが、本人がすでに6年前にその鑑賞文(訳文)を書いていたわけである。漱石は画伯のことを謂ったのであろうが、現代の読者が見ると、漱石自身のことを詠んでいるとしか思えない。まさに杜甫の詠んだ「揮毫落紙如雲煙」を地で行っている。杜甫もまた友人だかのことを詩に書いたつもりで、識らず自分の天才を詠嘆しているのである。

 

漱石「最後の挨拶」坊っちゃん篇 34

290.『坊っちゃん』1日1回(12)――坊っちゃん最初で最後の嘘

 

第11章 天誅 (全6回)(つづき)

(明治38年10月24日火曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

 

6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

(11月9日木曜~11月10日金曜/明治38年11月~明治39年3月)

(P397-13/おれが玉子をたたきつけて)

山嵐は赤シャツを坊っちゃんは野だをぽかぽか殴る~7時下宿に帰って荷造りして出る~汽車で港屋へ~退職届を投函~山嵐と午後2時まで寝た~夜6時の汽船で出立~上京と後日譚

 

 山嵐と一緒に暴行傷害という最初で最後の犯罪を犯した坊っちゃんは、そのまま下宿へ「朝帰り」をして荷物をまとめ始める。そして驚く萩野の婆さんに、「東京へ行って奥さんを連れてくるんだ」と、これまた漱石作品で最初で最後と言ってもいい明白な嘘を言う。(主人公が苦しんでやむにやまれぬ嘘言を吐くことはあっても、このような根拠のはっきりしない嘘は唯一無二であろう。婆さんの坊っちゃんが妻帯しているという誤解をたしなめるものだったにせよ、あるいは婆さんに事情を説明するのが面倒だったにせよ、嘘は嘘である。)

 

 そして小説最後の3行。ここではオリジナル原稿を掲げてみる。

 

 ①清は玄関付きの家でなくっても至極満足の様子であったが今年の二月肺炎で死んで仕舞った。②死ぬ前日おれを呼んで坊っちゃん後生だから清が死んだら、坊っちゃんの御寺へ埋めて下さい。お墓のなかで坊っちゃんの来るのを楽しみに待って居りますと云った。③だから清の墓は小石川の養源寺にある。

 

 最初の一文(①)の後半は、「気の毒な事に今年の二月肺炎に罹って死んで仕舞った」と、2ヶ所の吹き出しで文意を補っている。しかしどうせ丁寧に書くなら、この①の文章にも最低1ヶ所くらいは読点も併せて挿入してしかるべきではないか。とにかくこの最後の3行で漱石は読点を1個しか使っていない。

 

 ①清は玄関付きの家でなくっても至極満足の様子であったが気の毒な事に今年の二月肺炎に罹って死んで仕舞った。

 

 これは『坊っちゃん』での最長文(読点なしの)であろう。『猫』は別として、『坊っちゃん』以後漱石は、むしろ読点を細かすぎるほど挿入する書き方になった。それは後代の小説家に多大な影響も与えたが、原稿上の漱石は読点に1桝使っていない。会話の鍵括弧も同様である。したがって漱石全集の本文では、会話文の(岩波のような)1字下げは不要であるし、読点は明治時代のある種の刊本のように、活字と活字の間に強引に割り込ませるのは却って読みづらいとしても、せめて半角なり幅の狭いのサイズで版組するのが妥当と考える。それもあって本ブログ第10項~第13項(聖典発掘)での『坊っちゃん』引用本文は、実験的に半角の読点を採用してみた。余談であるが。

 

 この敢えて読点なしの文章にしたというのは、清との同居がせいぜい1ヶ月かそれくらい、いくら長くてもとても2ヶ月にはならない、というような意味を込めての「最長不倒」であろうか。先に校長はおそらく10月中旬頃の坊っちゃんに、「来てから一月立つか立たないのに辞職したと云うと、君の将来の履歴に関係するから」(第11章3回)と言っている。これは文字通りカウントして言っているのではなく、そのときすでに1ヶ月を優に超えていたとしても、えてしてこういう言い方をすることがある。この狸の言い方を借りれば、折角一緒に住み始めたのに「一月立つか立たないのに」清は死んでしまったと言える。

 対句というものがある。対位法という理論もあるが、漱石はこんな(重要な)ところにまで、裏を返すというしきたりを持ち込んでいたのかと、今更ながら呆れざるを得ない。

 

 しかしそんなことより、ここでやはり気になるのが、「②死ぬ前日おれを呼んで」のくだりである。清は寝込んで動けなくなる最後の1週間ばかりの間、再び坊っちゃんの家から甥の家へ引き取られたのではないか。坊っちゃんが勤めに出てなおかつ清の世話が出来たとは、たとえ1日、2日であっても考えにくい。薬缶1杯の湯を沸かすのさえ、大変な手間がかかる時代である。坊っちゃんは父親の亡くなるとき1週間寝ずに看病したというが、それは周囲に人がいたから可能な技であって、女手もなくて独りで清の死を看取るなどということは、街鉄の技手をやっていた当時の坊っちゃんには到底不可能であろう。

 

 そして③の養源寺についての疑問は先に述べた通りである。『坊っちゃん』の名を不朽のものにする、勢いと自信に満ちた結びの一句の価値は永久に変わらないとしても、小石川にあろうが小日向にあろうが、相続人の兄が家を畳んで九州へ行ってしまった以上、坊っちゃんの家の菩提寺など、もうこの世のどこにも存在しないのではないか。

 

 とまれ清の死を以って、坊っちゃんの武勇伝は幕を閉じた。

 マドンナの早期退場によって尻切れトンボに終わるはずの『坊っちゃん』は、清の死という大尾に至って不朽の名作となった。ヒロインを小説の最後まで引っ張るという必勝の作法を、漱石は意図しないで実行したと言える。といって清は坊っちゃんにとって慈悲観音のようなものであったが、小説のヒロインではない。清は下女であっても「女」ではない。ましてや「永遠の女性」などではあり得ない。『坊っちゃん』の真のヒロインは、多くの読者が「正しく」感じたようにマドンナである。しかし漱石は清もまたそうと読めるように書いた。それがゆえに『坊っちゃん』はいつまでも人気があるだが、漱石は2度とそのような曖昧なヒロインの物語は書かなかった。(その意味で『明暗』の中断はある誤解を残した。清子が真のヒロインであるとする読み手にとっては、お延は贋の、あるいはせいぜいオルタネートのヒロインになってしまうからである。)

 

 余談になるが、マドンナがこの小説の真のヒロインであることに疑義を感じる向きには、マドンナに去られたうらなりのその後の系図を見れば、『坊っちゃん』の隠れたヒーローが分かるはずである。その系図とは、

 

〇うらなり(古賀先生)-寒月(水島)-野々宮宗八-長井代助-野中宗助

 

 である。坊っちゃんは小説の主人公ではあるが、『三四郎』における三四郎のように、狂言廻し役でもある。その場合の、漱石が真に書きたかった人物とは、赤シャツでも山嵐でもなく、うらなりではなかったか(ちょうど『三四郎』における野々宮宗八のように)。そして彼らの相手こそが真のヒロインになる。その系図を示すと、

 

〇マドンナ(遠山の御嬢さん)-金田富子-里見美禰子-平岡三千代(旧姓菅沼)-野中米

 

 男は先頭から順に、K-K-N-N-Nとも読める。Kが金之助、Nが夏目であるとして、それに苦情を言う者はいないだろう。そして女の列に清という老下女の入り込む余地はない。

 那美さんと藤尾については、男を振ってはいるが、その相手というのは主人公ではない。つまり(言葉は悪いが)練習台というところであろうか。

 ついでながら、中期3部作以降もこの方針は堅持されていて、『彼岸過迄』千代子、『行人』お直とも、未遂ながら本能的に殆ど男から逃げ出しているようにも見え、『心』の御嬢さんは、Kをはっきり振っている(御嬢さんにその意識はなかったであろうが、漱石は明らかにそのように書いている)。そして『明暗』では、(未完であるからには)断定することは出来ないものの、清子はすでに他に嫁ぎ、お延もまた、いつでも逃げられる余地を残しながらの幕引きになるであろうか。

 そして「逃げ出す女」というのは、作者の側から見れば「退治された女」と言って差し支えない。退治されたから逃げ出すのである。逃げられるのはヒーローであるが、退治する者は漱石である。