明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」草枕篇 34

330.『草枕』目次(21)第13章(つづき)――何事かが成就した漱石唯一の目出度い作品 第13章 鉄道駅で大切な人との別れ (全3回)(承前)2回 那美さんの肖像画を描く話(P164-5/舟は面白い程やすらかに流れる。左右の岸には土筆でも生えて居りそうな…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 33

329.『草枕』目次(20)第13章――太公望の秘密 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回共通)第…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 32

328.『草枕』目次(19)第12章(つづき)――野武士の髯と『一夜』の髯ある人 第12章 白鞘の短刀の行方 (全6回)(承前)4回 那美さん野武士に財布を渡す(P152-15/寝返りをして、声の響いた方を見ると、山の出鼻を回って、雑木の間から、一人の男があら…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 31

327.『草枕』目次(18)第12章――蜜柑山の秘密 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回共通)第…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 30

326.『草枕』目次(17)第11章(つづき)――若い人の意見の方が正しい 第11章 山門の石段を登りながら考えた (全4回)(承前)3回 お寺で大徹和尚と了念に会う(P135-12/「和尚さんは御出かい」「居られる。何しに御座った」「温泉に居る画工が来たと、取…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 29

325.『草枕』目次(16)第11章(つづき)――有明海の星月夜 第11章 山門の石段を登りながら考えた (全4回)(承前)2回 一列に並んだサボテンと1本の木蓮の大樹(P132-10/仰数春星一二三の句を得て、石磴を登りつくしたる時、朧にひかる春の海が帯の…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 28

324.『草枕』目次(15)第11章――明治39年版怒れる小説 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 27

323.『草枕』目次(14)第10章――こっそり迎えたクライマックス 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 26

322.『草枕』目次(13)第9章(つづき)――甥っ子1人登場させたばかりに 第9章 那美さんに個人レッスン (全3回)(承前)2回 メレディスの小説を日本語に直しながら読む(P110-3/これも一興だろうと思ったから、余は女の乞に応じて、例の書物をぽつり…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 25

321.『草枕』目次(12)第8章・第9章――早くも則天去私の考えが 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 24

320.『草枕』目次(11)第7章――神代のエロティシズム 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回共…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 23

319.『草枕』目次(10)第6章(つづき)――分刻みの恋(Reprise) 第6章 座敷に独り居て神境に入る (全4回)(承前)4回 振袖披露(P80-11/余が眼を転じて、入口を見たときは、奇麗なものが、既に引き開けた襖の影に半分かくれかけて居た。しかも其姿は余…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 22

318.『草枕』目次(9)第6章――俳句と理屈が代わりばんこに登場する 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 21

317.『草枕』目次(8)第5章――名前のない登場人物 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回共通)…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 20

316.『草枕』目次(7)第4章(つづき)――画工の疑似恋愛 第4章 スケッチブックの中の詩人 (全4回)(承前)3回 青磁の羊羹(P49-2/余は又ごろりと寝ころんだ。忽ち心に浮んだのは、 Sadder than is the moon's lost light, Lost ere the kindling of da…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 19

315.『草枕』目次(6)第4章――那美さんのラヴレター 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回共通…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 18

314.『草枕』目次(5)第3章(つづき)――女王は3回初登場する(実践篇) 第3章 夜おそく那古井の宿へ到着(全4回)(承前)2回 歌う女(P30-13/そこで眼が醒めた。腋の下から汗が出ている。妙に雅俗混淆な夢を見たものだと思った。昔し宋の大慧禅師と云…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 17

313.『草枕』目次(4)第3章――那古井は2度目というけれど 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 16

312.『草枕』目次(3)第2章――画工33歳那美さん25歳 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す。(各回…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 15

311.『草枕』目次(2)第1章(つづき)――非人情の旅とは何か 第1章 山路を登りながら考えた(全4回)(承前)2回 雲雀の詩(P6-3/忽ち足の下で雲雀の声がし出した。谷を見下したが、どこで鳴いてるか影も形も見えぬ。只声だけが明らかに聞える。せっせと忙…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 14

310.『草枕』目次(1)第1章――真の詩人は坊っちゃんか 回り道をしたが、ここで『草枕』にも目次を付けてみる。引用はいつも通り『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)。ただし新仮名遣いに改めている。回数分けは論者の恣意であるが、ガイドとしてその…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 13

309.『草枕』あぶない小説(4)――『一夜』の脚本 (前項の)3人の生涯は余計な話(小説的に空想した無駄話)であるが、難解な『一夜』を少しでも分かりやすくするため、ここで最後に本文を脚本ふうにリライトしてみよう。本文は引用と同じ青色で示すが、赤…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 12

308.『草枕』あぶない小説(3)――『一夜』3つの嘘 さて『草枕』の話に戻らねばならないが、その前に、『草枕』のプロローグたる『一夜』について、もう少し詳しく見てみよう。 前述したが『一夜』はよく分からない作品である。その上作者の漱石が(『猫』…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 11

307.『草枕』あぶない小説(2)――女王は3回初登場する 全13回の登場シーンを有つ那美さんであるが、その那美さんは贅沢にも初登場シーンが3回ある。それはあたかも漱石の処女作が『猫』・『坊っちゃん』・『倫敦塔』(あるいは『草枕』)と3つあること…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 10

306.『草枕』あぶない小説(1)――始めて描かれたヒロイン 『草枕』の最大の特長は那美さんというヒロインの造形であろう。ヒロインとしては金田富子、マドンナに次いで3番目の登場であるが、前2者はほとんどセリフがない。那美さんが始めて生きて自分の意…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 9

305.『草枕』幻の最終作品(3)――もうひとつの『明暗』と『迷路』 漱石の手帳(メモ)を再度引用する。〇二人して一人の女を思う。一人は消極、sad, noble, shy, religious, 一人は active, social. 後者遂に女を得。前者女を得られて急に淋しさを強く感ず…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 8

304.『草枕』幻の最終作品(2)――主人公は芸術家 『三四郎』以降の新聞小説を3部作のセットとして捉え、そのため『道草』『明暗』に続く「幻の最終作品」が構想されていた筈である、というのが前著(『明暗』に向かって)の主張の1つである。さてその幻の…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 7

303.『草枕』幻の最終作品(1)――3部作の秘密 さて本ブログは、Ⅰ 青春3部作(『三四郎M41』『それからM42』『門M43』)Ⅱ 中期3部作(『彼岸過迄M45』『行人T2』『心T3』) を順に取扱ったあと、最後の作品群に移る前に、『坊っちゃん』『草枕』(おそら…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 6

302.『草枕』降臨する神々(6)――消えろ消えろ束の間のともしび そして調子に乗ってもう1つ、『趣味の遺伝』の中にある漱石のマクベス論について言及した記念として、論者の生涯で最も記憶に残るマクベスの名が語られた場面を紹介したい。それは堤重久の『…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 5

301.『草枕』降臨する神々(5)――『趣味の遺伝』の実相 マクベスが出て来るようでは何人も黙って引き下がるしかないのだが、ここで『趣味の遺伝』の筋書きをまとめれば、①ある日浩さんが本郷郵便局で令嬢を見染めた。②令嬢も密かに感応したがピュアな浩さん…