明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」野分篇 38

373.『野分』「明治39年怒りの3部作」――『坊っちゃん』『草枕』『野分』の目次


 本ブログではこれまで『坊っちゃん』『草枕』に対しても(無用の)回数分けを行なってきた。ここで野分篇が完結した記念に、『坊っちゃん』『草枕』の目次も併せて再掲してみよう。

坊っちゃん』(全11章45回

第1章 坊っちゃん
1回 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る
2回 こいつはどうせ碌なものにはならない
3回 母が死んでから清は愈おれを可愛がった
4回 六百円の使用法に就て寝ながら考えた
5回 もう御別れになるかも知れません

第2章 到着
1回 松山初日に清の夢を見た
2回 教員控所で1人ずつ辞令を見せた
3回 早速清へ手紙を書く

第3章 教室
1回 まちっとゆるゆる遣っておくれんかなもし
2回 おい天麩羅を持って来い
3回 住田温泉には遊郭も公園も団子屋もある

第4章 宿直事件
1回 宿直が無暗に出てあるくなんて不都合じゃないか
2回 そりゃイナゴぞなもし
3回 世の中に正直が勝たないで外に勝つものがあるか

第5章 ターナー
1回 ひろびろとした海の上で潮風に吹かれるのは薬だと思った
2回 清を連れてこんな美しい所へ遊びに来たい
3回 さあ君は率直だからまだ経験に乏しいと云うんですがね

第6章 職員会議
1回 君は学校に騒動を起すつもりで来たんじゃなかろう
2回 山嵐との大喧嘩
3回 職員会議の午後
4回 私は徹頭徹尾反対です。そんな頓珍漢な処分は大嫌いです
5回 山嵐吠える

第7章 マドンナ
1回 萩野の家へ宿替え
2回 渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものがいない
3回 やっと届いた清からの手紙
4回 マドンナ初登場
5回 野芹川の散歩デート

第8章 赤シャツ
1回 赤シャツと山嵐
2回 赤シャツの家で昇給話を聞く
3回 萩野の婆さん再び
4回 増給を断る奴が世の中にたった一人飛び出して来た

第9章 送別会の夜
1回 坊っちゃんの下宿で送別会の打合せ
2回 送別会始まる
3回 山嵐の送別の言葉
4回 狂乱の十五畳敷

第10章 祝勝会の夜
1回 祝勝会に生徒を引率
2回 山嵐が牛肉を持って訪れる
3回 祝勝会の余興
4回 師範と中学の乱闘騒ぎに巻き込まれる

第11章 天誅
1回 今朝の新聞を御見たかなもし
2回 新聞に書かれるのは泥亀に喰い付かれるようなもの
3回 履歴なんか構うもんですか履歴より義理が大切です
4回 奥さんの御ありるのに夜遊びはおやめたがええぞなもし
5回 増給が嫌だの辞表を出したいのって、ありゃどうしても神経に異状があるに相違ない
6回 野だに貴様も沢山かと聞いたら無論沢山だと答えた

草枕』(全13章51回

第1章 山路を登りながら考えた
1回 店子の論理
2回 雲雀の詩
3回 非人情の旅
4回 画工の覚悟

第2章 峠の茶屋で写生と句詠
1回 高砂の媼
2回 那古井の志保田
3回 源さんと馬子唄
4回 長良の乙女

第3章 夜おそく那古井の宿へ到着
1回 春の夜の夢
2回 歌う女
3回 侵入者
4回 不意討ち

第4章 スケッチブックの中の詩人
1回 添削もしくは付け文
2回 晩い朝食もしくは聴き取り調査
3回 青磁の羊羹
4回 スケッチブックの中に入ってみる

第5章 まるで浮世床
1回 髪結床の親方は元江戸っ子
2回 志保田の出返り娘はキ印
3回 納所坊主泰安の災難
4回 観海寺の小坊主了念

第6章 座敷に独り居て神境に入る
1回 何も見ず何も想わない楽しみの世界
2回 感興を画に乗せて
3回 画にもならず音楽にもならない興趣を詩で表現する方法
4回 振袖披露

第7章 浴場の怪事件
1回 湯壺の中の哲学的考察
2回 三味の音を聴いていると女が裸で入って来た
3回 那美さん湯に入る

第8章 隠居老人の茶席に招かれる
1回 客は観海寺の大徹和尚と甥の久一
2回 老人の娘那美さんの噂話も出る
3回 端渓の硯と物徂徠の大幅
4回 久一は召集されることになった

第9章 那美さんに個人レッスン
1回 非人情な小説の読み方
2回 メレディスの小説を日本語に直しながら読む
3回 画工と那美さん一触即発

第10章 鏡が池で写生をしていると岩の上に
1回 鏡が池で思索にふける
2回 那美さんの顔には憐れの情が足りない
3回 源兵衛の語る鏡が池の名の由来
4回 岩の上に立つ那美さんはひらりと身をひねる

第11章 山門の石段を登りながら考えた
1回 人のひる屁を勘定する人世
2回 一列に並んだサボテンと1本の木蓮の大樹
3回 お寺で大徹和尚と了念に会う
4回 和尚との禅問答

第12章 白鞘の短刀の行方
1回 芸術家の条件
2回 那美さんは家の中で常住芝居をしている
3回 海の見える野原で写生ならぬ漢詩に浸る
4回 那美さん野武士に財布を渡す
5回 画工那美さんに見付かる
6回 蜜柑山の久一さんの家へ行く

第13章 鉄道駅で大切な人との別れ
1回 川舟に全員集合
2回 那美さんの肖像画を描く話
3回 永訣。那美さんに突然浮かんだ憐みの表情

『野分』(全12章50回

第1章 白井道也は文学者である
1回 田舎の中学を3度飄然と去る
2回 夫を理解する細君はこの世に在るか
3回 もう田舎へは行かぬ教師もやらぬ

第2章 高柳君と中野君
1回 高柳君昼食を奢られる
2回 高柳と中野の奇妙な友情
3回 中野君にも悩みはある
4回 白井道也を追い出した話
5回 中野君は小説家志望

第3章 江湖雑誌の編輯記者
1回 道也先生中野君の邸を訪問
2回 中野君の男女恋愛論
3回 帰宅した道也先生
4回 湯豆腐と鉄火味噌の夕食
5回 細君は道也の兄の家へ金策に行った

第4章 高柳君音楽会へ迷い込む
1回 高柳君慈善音楽会に誘われる
2回 高柳君は始めての音楽会
3回 高柳君はたまらなく寂しい(高柳君の過去Ⅰ)
4回 道也の訪問を受けた中野君の話

第5章 ミルクホールで江湖雑誌を読む
1回 高柳君ミルクホールに入る
2回 憂世子「解脱と拘泥」(江湖雑誌)
3回 高柳君は憂世子の論文に心を衝たれる

第6章 高柳君道也に弟子入りする
1回 高柳君道也に面会す
2回 苦労が文学者を創る
3回 独りぼっちになれないようでは文学者にはなれない
4回 高柳君は道也の天下唯一の知己かも知れない

第7章 中野君の愛のヴィーナス
1回 ヴィーナスに嫉妬する
2回 ヴィーナスの指輪
3回 メリメ『ヴィーナスの殺人』
4回 中野君の語る高柳君の悲観病

第8章 道也の人格論
1回 高柳君の孤独
2回 秋雨の中を外に出る
3回 高柳君道也先生と遇う(高柳君の過去Ⅱ)
4回 孤独は崇高である

第9章 中野君の結婚披露
1回 結婚披露の園遊会
2回 夫婦を驚かせた高柳君の服装
3回 独りぼっちの園遊会
4回 高柳君は独りで帰ったのだろうか

第10章 道也と細君生計のピンチ
1回 足立教授の序文が貰えない
2回 細君の悩み
3回 道也の留守に兄が来る
4回 道也を教師の道へ引き戻す策略

第11章 道也の演説会
1回 演説会当日に兄から呼び出し
2回 道也の演説「現代の青年に告ぐ」始まる
3回 明治の40年は次の世代の為に在る
4回 どの道を歩むか何を成し遂げたか
5回 学問と金儲けは正反対の道である
6回 道徳・人生・社会の問題は学者に聞け

第12章 道也の『人格論』を百円で買う
1回 中野君は高柳君に療養を勧める
2回 高柳君の傑作に百円の前渡し
3回 百円を懐中して道也先生を訪なう
4回 道也先生の原稿を百円で買う