明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」心篇 28

241.『両親と私』1日1回(3)――手紙と電報の謎 ところでこの先生の手紙(遺書)は、1枚目だけ『両親と私』で紹介されてしまっている。第3篇『先生と遺書』は先生の手紙の2枚目あたりから始まっているのである。小説の構成としてはむしろ趣きがあると言…

漱石「最後の挨拶」心篇 27

240.『両親と私』1日1回(2)――復活したカレンダー(つづき) 第3章 死に近き父 (大正元年9月3日火曜~9月10日火曜) 私・父・母・医者 9回 上京予定日の2日前に父はまた倒れた~足止め~「どうせ死ぬんだから、旨いものでも食って死ななくちゃ…

漱石「最後の挨拶」心篇 26

239.『両親と私』1日1回(1)――復活したカレンダー 『両親と私』 (全18回)第1章 持ち直した父 (明治45年7月6日土曜~7月25日木曜) 私・父・母 1回「こんなものは巻いたなり手に持って来るものだ」「中に心でも入れると好かったのに」2回…

漱石「最後の挨拶」心篇 25

238.『先生と私』1日1回(11)――にやにや笑いの怪 第8章 卒業祝い・お別れ (明治45年7月2日火曜~7月5日金曜)(再掲) 32回 卒業式~その晩は先生の家で御馳走になる~「先生は癇性ですね」~「御目出とう」33回 私は卒業後何をしたいかま…

漱石「最後の挨拶」心篇 24

237.『先生と私』1日1回(10)――永訣 第8章 卒業祝い・お別れ (明治45年7月2日火曜~7月5日金曜) 私・先生・先生の奥さん・下女 32回 卒業式~その晩は先生の家で御馳走になる~「先生は癇性ですね」~「御目出とう」33回 私は卒業後何をし…

漱石「最後の挨拶」心篇 23

236.『先生と私』1日1回(9)――謎の仔犬と少年 第7章 卒業論文・郊外の散歩・先生の約束 (明治45年1月上旬~5月上旬) 私・先生・造園農家の家族と犬 25回 卒業論文を書かねばならない~先生の読書量は最近減ったという~「本をいくら読んでも偉…

漱石「最後の挨拶」心篇 22

235.『先生と私』1日1回(8)――郷里にて 第6章 両親と私 (明治44年12月中旬~明治45年1月初旬) 私・先生・先生の奥さん・私の両親 21回 冬休み前の帰省~父の病気は先生の奥さんの母親と同じ腎臓病~先生から旅費を用立ててもらって夜行列車…

漱石「最後の挨拶」心篇 21

234.『先生と私』1日1回(7)――奥さんによる『心』の解剖学 第5章 奥さんと私 (再掲) 14回 「あなた、あなた」奥さんは先生を制御するようだ~「かつては其人の膝の前に跪ずいたという記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせようとするのです。私…

漱石「最後の挨拶」心篇 20

233.『先生と私』1日1回(6)――親譲りの無鉄砲 第5章 奥さんと私 私・先生の奥さん・先生 14回 「あなた、あなた」奥さんは先生を制御するようだ~「かつては其人の膝の前に跪ずいたという記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせようとするのです。…

漱石「最後の挨拶」心篇 19

232.『先生と私』1日1回(5)――「ずっと」の用例 第4章 リセット/すべてはもう明るみに 私・先生・先生の奥さん 11回 学歴の再確認~先生は世間と無縁に生きている~先生の元同級生批判~「若い時はあんな人じゃなかったんですよ」12回 新潟県人の…

漱石「最後の挨拶」心篇 18

231.『先生と私』1日1回(4)――「仲の好い夫婦」 第3章 先生と奥さん (再掲) 8回 先生の奥さんは美しい人~ある日の食卓にお酒が~「子供でもあると好いんですがね」「一人貰って遣ろうか」「貰っ子じゃ、ねえあなた」9回 先生と奥さんは仲の好い一…

漱石「最後の挨拶」心篇 17

230.『先生と私』1日1回(3)――「其時」の用例 第3章 先生と奥さん 私・先生・先生の奥さん 8回 先生の奥さんは美しい人~ある日の食卓にお酒が~「子供でもあると好いんですがね」「一人貰って遣ろうか」「貰っ子じゃ、ねえあなた」9回 先生と奥さん…

漱石「最後の挨拶」心篇 16

229.『先生と私』1日1回(2)――先生はなぜ驚いたのか 第2章 雑司ヶ谷の墓地 (再掲) 4回 東京の先生の家を始めて訪れる~先生は今は亡くなっている5回 雑司ヶ谷墓地での邂逅~「あすこには私の友達の墓があるんです」6回 先生のただ一人の門人となる…

漱石「最後の挨拶」心篇 15

228.『先生と私』1日1回(1)――名無しの主人公は本卦還りか 『先生と私』 (全36回)第1章 鎌倉の海 私・先生・先生の海水浴の連れの西洋人・私の中国地方の資産家の息子たる友人 1回 鎌倉で一夏を過ごす~海水浴に無聊を紛らわす2回 先生を始めて見…

漱石「最後の挨拶」心篇 14

227.『心』最後の謎(承前)――私の秘密(つづき) (前項よりつづく) 『門』の宗助は三四郎と同じで殆ど例はないが、坂井と宣道にはちゃんと「わたくし」と言っているのに対し、坂井の下女には「わたし」と言っている。御米は宗助に対しては「わたくし」「…