明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」草枕篇 28

324.『草枕』目次(15)第11章――明治39年版怒れる小説 第11章 山門の石段を登りながら考えた (全4回)1回 人のひる屁を勘定する人世(P129-11/山里の朧に乗じてそぞろ歩く。観海寺の石段を登りながら仰数春星一二三と云う句を得た。余は別に和尚に…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 27

323.『草枕』目次(14)第10章――こっそり迎えたクライマックス 第10章 鏡が池で写生をしていると岩の上に (全4回)1回 鏡が池で思索にふける(P118-2/鏡が池へ来て見る。観海寺の裏道を、杉の間から谷へ降りて、向うの山へ登らぬうちに、路は二股に岐…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 26

322.『草枕』目次(13)第9章(つづき)――甥っ子1人登場させたばかりに 第9章 那美さんに個人レッスン (全3回)(承前)2回 メレディスの小説を日本語に直しながら読む(P110-3/これも一興だろうと思ったから、余は女の乞に応じて、例の書物をぽつり…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 25

321.『草枕』目次(12)第8章・第9章――早くも則天去私の考えが 『草枕』目次。引用は岩波書店『定本漱石全集第3巻』(2017年3月初版)を新仮名遣いに改めたもの。回数分けは論者の恣意だが、その箇所の頁行番号ならびに本文を、ガイドとして少しく附す…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 24

320.『草枕』目次(11)第7章――神代のエロティシズム 第7章 浴場の怪事件 (全3回)1回 湯壺の中の哲学的考察(P84-2/寒い。手拭を下げて、湯壺へ下る。 三畳へ着物を脱いで、段々を、四つ下りると、八畳程な風呂場へ出る。石に不自由せぬ国と見えて、下は御…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 23

319.『草枕』目次(10)第6章(つづき)――分刻みの恋(Reprise) 第6章 座敷に独り居て神境に入る (全4回)(承前)4回 振袖披露(P80-11/余が眼を転じて、入口を見たときは、奇麗なものが、既に引き開けた襖の影に半分かくれかけて居た。しかも其姿は余…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 22

318.『草枕』目次(9)第6章――俳句と理屈が代わりばんこに登場する 第6章 座敷に独り居て神境に入る (全4回)1回 何も見ず何も想わない楽しみの世界(P71-11/夕暮の机に向う。障子も襖も開け放つ。宿の人は多くもあらぬ上に、家は割合に広い。余が住む部…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 21

317.『草枕』目次(8)第5章――名前のない登場人物 第5章 まるで浮世床 (全4回)1回 髪結床の親方は元江戸っ子(P57-2/「失礼ですが旦那は、矢張(やっぱ)り東京ですか」「東京と見えるかい」「見えるかいって、一目見りゃあ、――第一言葉でわかりまさあ」「東京は…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 20

316.『草枕』目次(7)第4章(つづき)――画工の疑似恋愛 第4章 スケッチブックの中の詩人 (全4回)(承前)3回 青磁の羊羹(P49-2/余は又ごろりと寝ころんだ。忽ち心に浮んだのは、 Sadder than is the moon's lost light, Lost ere the kindling of da…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 19

315.『草枕』目次(6)第4章――那美さんのラヴレター 第4章 スケッチブックの中の詩人 (全4回)1回 添削もしくは付け文(P41-9/ぽかんと部屋へ帰ると、成程奇麗に掃除がしてある。一寸気がかりだから、念の為め戸棚をあけて見る。下には小さな用箪笥が見え…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 18

314.『草枕』目次(5)第3章(つづき)――女王は3回初登場する(実践篇) 第3章 夜おそく那古井の宿へ到着(全4回)(承前)2回 歌う女(P30-13/そこで眼が醒めた。腋の下から汗が出ている。妙に雅俗混淆な夢を見たものだと思った。昔し宋の大慧禅師と云…