明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

『明暗』に向かって 目次 1

50.『明暗』に向かって 目次(1)


漱石「最後の挨拶」番外篇]

 恐縮ついでに「『明暗』に向かって」の「目次」を紹介したい。同書は前書き以外に61の項から成る。全61項は便宜的に

Ⅰ 四つの改訂
Ⅱ 小石川の谷(と台地)
Ⅲ 棗色の研究
Ⅳ 珍野家の猫

 の4つの章に分けられているが、これは例えばLPレコードにA・B・C・Dの面があるようなもので、深い意味はない。

『明暗』に向かって

はじめに ―― 二つの『明暗』

野上弥生子の『明暗』/漱石幻の最終作品/三つの三部作/三部作の「秘密」

Ⅰ 四つの改訂

1.『明暗』のピラミッド
ニューヨークへの葉書/近松秋江の回想/松岡の回想/読者からの手紙/主人公が替わった

2.日曜日の印象
漱石は日曜日のときは日曜日と書く/日曜日はありがたいが/未来から大正4年秋を描く

3.『明暗』曜日カレンダー
『明暗』の始まりは大正4年10月27日水曜日/終わり(中断)は2週間後の11月10日水曜日

4.『明暗』曜日カレンダー(承前)―― 五人衆プラスワン
ストーリーを作る津田・お延・小林・お秀・吉川夫人プラス清子/小林の送別会はいつか

5.真事の空気銃事件
5月19日起筆説の根拠/荒正人の年表/1日1回の決まりを破った日/編集者への手紙

6.甥の真事ランドセル事件
土曜の午後と弁当箱/藤井の家は目白台/甥の真事誤記事件/岡本一への絵葉書/藤井は養子か

7.津田とお延、浮華の謎
津田の家は麹町区飯田町六丁目/地図の右は人物にも右/小川町交差点と外濠線はどこに行った

8.「お延自分でも」事件 ―― 四つの改訂
神田警察から日比谷通りへ向かうお延/歌舞伎座の悲劇/字下ゲセズ/『坊っちゃん』生原稿

9.歌舞伎座お見合い席順の謎
入替わった継子と三好/吉川夫妻が仕切った見合い/肩車に乗った猿/お見合いは漱石作品の鬼門

10.見合いを断ってはいけない
漱石が見合いを断らなかった理由/代助は見合い中だったから三千代に告白できたのか

11.結婚話を断ってもいけない
最初で最後のプロポーズ/結婚を決めても断っても悲劇の男/代助の縁談とお延の縁談

12.席順の謎の起源
三四郎の乗った東海道線と広田先生/三四郎の乗った山陽線と汽車の女/漱石は俯瞰をしない

13.『門』の間取り図
詳細に描かれた『門』の間取図/御米と小六の関係/小六の再教育/漱石唯一の大団円

14.『心』の場合
詳細に描かれた『心』の間取図/奥さんはどこで寝ていたか/硝子障子の謎/顎を振る癖

(この項つづく)