明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」それから篇 18

81.『それから』目次(1)―― 第1章~第9章(ドラフト版)


『それから』は漱石によって1から17に分割されているが、小論ではそれをそのまま1章から17章とし、その簡単な概要を新聞掲載回と共に掲げることにする。また章ごとに代助以外の登場人物を(登場順に)列記する。代助の頭にのみ浮かんだ人物も、別途括弧付きで掲げる。
 日付の推定は困難であるが、年次は明治42年で確定しているので、章ごとに大体の季節を掲げておく。

第1章 平岡の葉書  4月初め
(婆さん・門野)(平岡の葉書)
1回 心臓の鼓動を聴いて生と死の神秘を想う
2回 何もしない書生門野は高等遊民代助のカモフラージュ
3回 門野の頭には牛の脳味噌が
4回 アルバムの中の1枚の(女の)写真

第2章 平岡の来訪  4月初め
(平岡・婆さん・門野)(支店長・関・三千代)
1回 「ここだここだ」3年ぶりの再会
2回 卒業後1年間は兄弟のように暮した
3回 折角人に生れて麺麭のみに生きるのはもったいない
4回 平岡の失敗
5回 ふたりのへだたり

第3章 長井家の人々  4月
(父親・嫂)(誠吾・誠太郎・縫子)
1回 長井の一家
2回 代助と父親の残念な関係
3回 父親の理解の外側にある代助の人生観
4回 父親の自慢話に代助は平岡の悪口で対抗
5回 梅子との無駄話
6回 梅子の関心は代助の結婚のみ
7回 佐川家との因縁

第4章 三千代の来訪  4月
(門野・婆さん・三千代)(平岡)
1回 死と向き合うことの意味
2回 平岡の引越
3回 門野と婆さんの聞き間違い~来客
4回 三千代の始めての来訪
5回 三千代500円の借金申し込み

第5章 引越の日  4月
(門野・平岡・三千代・誠吾)
1回 平岡夫妻の引越
2回 代助の鬱~発狂への道のり
3回 兄と園遊会へ~英国人の世辞
4回 フロックコート鰻屋の会食
5回 兄への借金申し込み

第6章 呑みながらの議論  5月
(誠吾・門野・誠太郎・平岡・三千代)
1回 そういう人物は御免蒙る
2回 『煤煙』代助の文学論
3回 甥の誠太郎学校帰りに遊びに来る
4回 平岡の家を訪ねる
5回 代助3年間の心境の変化
6回 平岡の強がり~失敗しても働いているだけまし
7回 代助の強がり~人生を誤りたくないから働かない
8回 職業と道楽

第7章 金と結婚  5月
(門野・嫂・縫子)(菅沼・菅沼の両親・平岡)
1回 代助の神経症と安息の日々
2回 菅沼という男~三千代の境遇
3回 兄の家へ行く~嫂に金策
4回 梅子への借金申し込み
5回 梅子の抵抗
6回 梅子の詰問

第8章 二百円の小切手  5月
(寺尾・三千代・平岡・門野)(嫂の手紙)
1回 日糖事件
2回 森川町の寺尾を訪ねる
3回 嫂より状箱入りの手紙~二百円の小切手
4回 代助は小切手をすぐ三千代に届ける
5回 平岡来訪~新聞の口がある
6回 平岡と自分~変わったのはどっちか

第9章 世間  5月
(誠吾・嫂・父)(佐川の娘)
1回 道徳は世間の中にある~世間の外に置かれた理屈で道徳を説くことの無意味
2回 兄は珍しく家で休養~我々もいつ拘引されるか分からない
3回 父の長談義~財産が欲しいなら佐川の娘を貰うこと
4回 父の怒りの真の理由は何か

 (この項つづく)