明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」行人篇 44

211.『行人』目次(3)――『帰ってから』

『帰ってから』 (全38回)

第1章 自分たちはかくして東京へ帰ったのである(『兄』第10章を兼ねる)
    二郎・一郎・直・母・岡田・(お兼さん・佐野)

第1回 旅の終わりⅠ 和歌の浦から大阪へ~岡田に見送られて寝台急行で大阪を発つ(8/16水)
第2回 旅の終わりⅡ 深夜12時、雨の名古屋駅~窓開閉事件~寝台の一郎は眠ることしかしない(8/16水~8/17木)(以上既出)

第2章 自分たちはかくして東京へ帰ったのである(再び)
    二郎・一郎・直・芳江・お重・(母・お貞さん)

第3回 留守宅Ⅰ お留守番した芳江とお守りのお重~芳江はお母さん子(8/18金~8/19土)
第4回 留守宅Ⅱ 講釈好きの父は飽きっぽい~朝貌の変種~兄と嫂の確執は一段落~母の話も一頓挫(8月下旬)

第3章 長野家の人々とお貞さんの結婚問題(9月)
    二郎・一郎・直・芳江・父・母・お重・お貞さん

第5回 ある夕餉Ⅰ 秋になると一郎も二郎も生き返った気がする~しかし兄は相変わらず憂鬱「己の綾成す事の出来ないのは子供ばかりじゃないよ」
第6回 ある夕餉Ⅱ「結婚の話で顔を赤くするうちが女の花だよ」~お貞さんの涙~「二郎、此間の問題もそれぎりになっていたね」
第7回 ある夕餉Ⅲ 純情なお貞さん~兄の鬱屈~お重の苛立ち「兄さん、其プッジングを妾に頂戴。ね、好いでしょう」
第8回 お重の短気Ⅰ 佐野とお貞さんの結婚問題~二郎とお重の諍い~お重の涙「御前は嫂さんに抵抗し過ぎるよ」「当前ですわ。大兄さんの妹ですもの」
第9回 お重の短気Ⅱ 二郎とお重の大喧嘩「嫂さんはいくら貴方が贔屓にしたって、もともと他人じゃありませんか」~すべての問題が結婚につながる
第10回 お重の短気Ⅲ「お重さん是お貞さんのよ。好いでしょう。あなたも早く佐野さん見た様な方の所へ入らっしゃいよ」~父は翌日お重を連れて三越へ出掛けた

第4章 講釈好きの父が語る女景清事件(9月)
    二郎・一郎・直・父・母・お重・謡仲間の客・(坊っちゃん・召使)

第11回 謡仲間Ⅰ 父の謡の仲間、年配の来客2人~お重は鼓を休んでなぜか逃げる
第12回 謡仲間Ⅱ 謡の演題は「景清」~演者は3人、聴き手も兄・嫂・二郎の3人
第13回 女景清Ⅰ 発端は今から25、6年前~20歳位の高等学校入りたての坊っちゃん~その家の同い年の召使との夏の夜の夢のような儚い情事~女の方が積極的だった
第14回 女景清Ⅱ 坊っちゃんは結婚を約束~冷静な女は半信半疑~大学を出る頃にはお互い25、6歳になる~男は1週間で後悔~破約を申し込み「ごめんよ」~宿を下がった女とはそれぎりに
第15回 女景清Ⅲ ところが20何年か後有楽座の邦楽会で隣り合わせに~女は盲目になっていた~気になった男は手を廻して女の住まいを突き止める
第16回 女景清Ⅳ 女の宅への訪問は父が代行~男が土産に包んだ百円紙幣を女は受け取らない「夫の位牌に対して済まないから御返しする」
第17回 女景清Ⅴ 女は子供が2人立派に成人しているもよう~男の経歴を知りたがる「一番上のは幾何にお成りで」「左様さもう十二三にも成りましょうか」
第18回 女景清Ⅵ 女の唯一の希み~男が結婚の約束を取り消したのは、周囲の事情の圧迫以外に何か理由があったか、自分に起因する何か嫌なことがあったのか、そこが知りたい
第19回 女景清Ⅶ 父は返答できないが何とかごまかした~驚く一郎「女はそんな事で満足したんですか」

第5章 長野家の秋(11月)
    二郎・一郎・お直・母・お重・三沢

第20回 兄と自分Ⅰ 二郎は結婚前の直を知っていた~母もすすめる二郎の独立問題「二郎、学者ってものは皆なあんな偏屈なものかね」
第21回 兄と自分Ⅱ 一郎は父の軽薄に憤る~女景清の女に対する父の不誠実さをなじる~二郎に対しても、直の報告をとぼけていると言って責める
第22回 兄と自分Ⅲ 二郎は直について特に問題になるようなことはないと断言する~一郎の怒り「此馬鹿野郎」「お父さんのような虚偽な自白を聞いた後、何で貴様の報告なんか宛にするものか」
第23回 家を出るⅠ 早く家を出たい~三沢に相談「君がお直さん抔の傍に長く喰付いているから悪いんだ」
第24回 家を出るⅡ 下宿探し~お重との仲直り~母の言葉「二郎たとい、お前が家を出たってね」
第25回 家を出るⅢ 父に報告~嫂の言葉「其方が面倒でなくて好いでしょう…そうして早く奥さんをお貰いなさい…早い方が好いわよ貴方。妾探して上げましょうか」
第26回 兄と自分Ⅳ 兄に報告「出るなら出るさ。お前ももう一人前の人間だから」~二郎は就職していた~「然し己がお前を出したように皆なから思われては迷惑だよ」
第27回 兄と自分Ⅴ「一人出るのかい」~二郎は混乱する~兄の始めての笑い~兄もまたヒステリィか~パオロとフランチェスカの恋
第28回 兄と自分Ⅵ「二郎、お前は現在も未来も永久に、勝利者として存在しようとする積か」~兄の精神は異常を来たしているようだ

第6章 二郎の独立(11月~12月)
    二郎・母・父・三沢・B先生・(一郎・お直)

第29回 家を出るⅣ 嫂の淋しい笑い「もう御出掛。では御機嫌よう。又ちょくちょく遊びに入らっしゃい」~二郎は有楽町の設計事務所に勤めていた
第30回 家を出るⅤ 下宿した二郎は孤独のせいか神経過敏に~久しぶりに三沢を訪ねる~一郎の講義が少しヘンだったという学校の噂~思い当たった二郎は恐怖する
第31回 家を出るⅥ 出帰りの娘さんの三回忌の話「何故そんなら始めから僕に遣ろうと云わないんだ。資産や社会的の地位ばかり目当にして」「一体君は貰いたいと申し込んだ事でもあるのか」「ないさ」~精神病で繋がる娘さんと三沢、そして兄
第32回 家を出るⅦ お重の結婚相手に三沢の名前が~兄の神経は大分落ち着いて来たらしい~しかし風邪を引いて妙な譫言を言った~母の話「神経衰弱のものは少しの熱でも頭が変になる」

第7章 お貞さんの結婚(12月)
    二郎・一郎・お直・芳江・父・母・お重・岡田・佐野・三沢

第33回 結婚Ⅰ 三沢との会話~異様なおのろけ~三沢は二郎の結婚相手を探そうとする~岡田と佐野の上京~久し振り家族の会話
第34回 結婚Ⅱ 芳江の講釈「本当の鼈甲は高過ぎるから御已めにしたんですって」「是一番安いのよ。四方張よか安いのよ」~兄によるお貞さんへの最後の講義~お貞さんはまた泣いたのか、真に感謝したのか
第35回 結婚式Ⅰ お貞さんは島田に結った~岡田がお兼さんを連れて来なかったので一郎夫妻が仲人役を「然し僕等のような夫婦が媒酌人になっちゃ」
第36回 結婚式Ⅱ 兄も嫂も自然のままに取り澄ましている~結婚式は不幸の始まりか~昼の汽車で発つ新夫婦と岡田を雨のプラットホームで見送り、二郎は下宿へ帰った

第8章 長野家の冬(1月~3月)
    二郎・母・お重・三沢・(一郎・お直・父)

第37回 下宿Ⅰ お貞さんが去ると共に冬も去った~二郎の下宿にはお重が時々やって来た
第38回 下宿Ⅱ 母も1、2遍来た~三沢は時々来た~嫂だけは来なかった~永いようで短な冬は、事の起こりそうで起らない自分の前を平凡に去って行った