明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」行人篇 43

210.『行人』目次(2)――『兄』


『兄』 (全44回)

第1章 到着、お出迎え
    二郎・一郎・直・母・岡田・お兼さん・(月夜に大石の持上げ競をやる裸男)

第1回 再び梅田の停車場へ「何うです。二郎さん喫驚したでしょう」(8/9水)
第2回 大阪の宿と到着の絵葉書「お兼さんは本当に奥さんらしくなったね」(8/9水)
第3回 四人始めての大阪の夜「今夜は御止しよ」(8/9水)
第4回 岡田の大阪遊覧目録「馬鹿馬鹿しい、骨を折ったり調戯われたり」(8/9水)

第2章 大阪、旅の宿の夜
    二郎・一郎・直・母・岡田・(佐野)

第5回 佐野との会見「当人は無論知っているんだ」「大喜びだよ」(8/10木)
第6回 兄と嫂~大阪は暑いからもういい~和歌の浦行きは兄の発議(8/10木)
第7回 母に岡田に返す金の無心「兄さんには内所だよ」(8/10木)
第8回 嫂は丸髷に結った「兄さんの御好みなんですか、其でこでこ頭は」(8/10木)
第9回 岡田と別れの宴~借りた金を返す「お兼が喜びます。ありがとう」(8/10木)

第3章 和歌の浦へ~兄と自分、接吻(キッス)の話
    二郎・一郎・直・母

第10回 南海鉄道の食堂車~三沢の接吻事件(8/11金)
第11回 市内電車に乗換~出帰り娘さん事件(8/11金)
第12回「噫々女も気狂にして見なくっちゃ、本体は到底解らないのかな」(8/11金)

第4章 和歌の浦1泊目~兄と嫂、まるで赤の他人
    二郎・母・(一郎・直)

第13回 風呂の後の散歩事件~離れて歩く兄と嫂「あれだから本当に困るよ」(8/11金)
第14回「だからさ。御母さんには訳が解らないと云うのさ」(8/11金)
第15回「余りがたがた云わして、兄さんの邪魔になると不可ないよ」(8/11金)

第5章 和歌の浦2泊目~兄と自分、山上の垂訓・東照宮
    二郎・一郎・(直・母)

第16回 東洋第一エレヴェーター「二人で行こう。二人限で」(8/12土)
第17回 蒻鬱した木立の中に紀三井寺を望む~権現様参り(8/12土)
第18回 山門から拝殿へ進む「お直は御前に惚れてるんじゃないか」(8/12土)
第19回「おれは御前の兄だったね。誠に子供らしい事を云って済まなかった」(8/12土)
第20回「おれが霊も魂も所謂スピリットも掴まない女と結婚している事丈は慥だ」(8/12土)
第21回「宗教は考えるものじゃない、信じるものだ」「二郎、何うか己を信じられる様にして呉れ」(8/12土)

第6章 和歌の浦3泊目~兄と自分、山上の垂訓・紀三井寺
    二郎・一郎・直・母

第22回 母とお直は紀三井寺に行っていた~母は高い石段をお直に引かれてやっと登った(8/12土)
第23回 トランプ事件~エレヴェーター再訪~紀三井寺へ(8/13日)
第24回「御前と直が二人で和歌山へ行って一晩泊って呉れれば好いんだ」(8/13日)
第25回「明日昼一所に和歌山へ行って、昼のうちに返って来れば差支ないだろう」(8/13日)
第26回「直御前二郎に和歌山へ連れて行って貰う筈だったね」「今日はお止しよ」(8/14月)
第27回「二郎、今になって違約して貰っちゃ己が困る。貴様だって男だろう」(8/14月)

第7章 嵐を含む空~嫂と自分、和歌山へ
    二郎・直・車夫・料理屋の下女

第28回 車夫に何処か寛くり坐って話の出来る所へ連れて行けと指図した「何故そんなに黙っていらっしゃるの」「何故そんな詰らない事を聞くのよ」「うるさい方ね」(8/14月)
第29回 待合のような料理屋~風呂~昼食の膳~下女を下げる「左右。そんなに御天気が怖いの。貴方にも似合わないのね」(8/14月)
第30回 二郎とお直のバトル本格化「然し兄さんに対して僕の責任があります」「じゃすぐ帰りましょう」(8/14月)
第31回 お直の涙「妾のような魂の抜殻はさぞ兄さんには御気に入らないでしょう。然し私は是で満足です」(8/14月)
第32回「貴方何の必要があって其んな事を聞くの。兄さんが好きか嫌いかなんて。妾が兄さん以外に好いてる男でもあると思っていらっしゃるの」(8/14月)
第33回 和歌の浦に迫る暴風雨~海辺の母たちの宿が心配だが~電話も電車も通じない「じゃ今夜は仕方がないから此処へ泊るとしますか」(8/14月)

第8章 嵐の一夜~嫂と自分、和歌山一泊事件
    二郎・直・宿屋の下女・朋輩の下女・車夫(2台)

第34回「此処で此位じゃ、和歌の浦はさぞ大変でしょうね」「大方其んな事だろうと思った。到底も駄目よ今夜は。いくら掛けたって、風で電話線を吹き切っちまったんだから。あの音を聞いたって解るじゃありませんか」(8/14月)
第35回「居るわ貴方。人間ですもの。嘘だと思うなら此処へ来て手で障って御覧なさい」「先刻下女が浴衣を持って来たから、着換えようと思って、今帯を解いている所です」(8/14月)
第36回「姉さん何時御粧をしたんです」「あら厭だ真闇になってから、そんな事を云いだして。貴方何時見たの」(8/14月)
第37回「嘘だと思うなら是から二人で和歌の浦へ行って浪でも海嘯でも構わない、一所に飛び込んで御目に懸けましょうか」「妾の方が貴方より何の位落ち付いているか知れやしない。大抵の男は意気地なしね、いざとなると」(8/14月)
第38回「だから嘘だと思うなら、和歌の浦迄伴れて行って頂戴。屹度浪の中へ飛び込んで死んで見せるから」「あなた昂奮昂奮って、よく仰しゃるけれども妾ゃ貴方よりいくら落付いているか解りゃしないわ。何時でも覚悟が出来てるんですもの」(8/14月)
第39回 翌朝は打って変わった好天気~朝食の膳に向い合っている嫂の姿が昨夕の嫂とは全く異なるような心持もした(8/15火)

第9章 和歌の浦5日目~旅の終わり
    二郎・一郎・直・母

第40回 兄は只々不機嫌~母はそうでもないが「もうもう和歌の浦も御免。海も御免」(8/15火)
第41回 母は自分と嫂のことは疑ってないと言うが、母は真顔で嘘を吐くことがある(8/15火)
第42回 別室での査問~不誠実な対応を兄は許さない「お前そんな冷淡な挨拶を一口したぎりで済むものと、高を括ってるのか、子供じゃあるまいし」(8/15火)
第43回 緊張して余裕のない兄は、風船球のように自分の力で破裂するか、何処かへ飛んで行くに相違ない(8/15火)
第44回 責められる二郎は却って兄に対する侮蔑を感じる~お直はそんな二郎と夫の会談を嗤っているようである(8/15火)