明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」三四郎篇 40

42.『三四郎』目次(1)―― 第1章~第4章(ドラフト版)


三四郎』は漱石によって1から13に分割されているが、小論では1章から12章およびエピローグに分かち、その簡単な概要を新聞掲載回と共に掲げることにする。また章ごとに三四郎以外の登場人物を(登場順に)列記する。手紙や主人物の話頭・回想等のみによる登場も、別途括弧付きで掲げる。
 日付も「日曜」を除けば『三四郎』本文中で語られるのは幾例もないが、仮に明治40年として、章ごとに推定の日付・曜日を掲げておく。

 女の問題、金の問題、そして小論でも論考を重ねたカレンダーの問題。多少なりともそれらの、解明につながるべく、そして『三四郎』の再読・三読の読み直しのためにも、どこに何が書かれているかを整理することは無駄ではないだろう。

第1章 東西
8月30日(金)~8月31日(土)
三四郎・汽車の女・爺さん・宿屋の下女・髭の男・新聞の男)(御光)
1回 山陽線と汽車の女~蛸薬師~旅順・大連
2回 弁当折の蓋~汽車の女の後姿・正面・横顔を順番に看る
3回 ご案内――梅の四番~風呂場の怪~虚偽の宿帳記帳
4回 蚤除の工夫~癇性で他人の蒲団に寝るのが嫌
5回 東海道線と髭の男~三四郎23年の弱点とベーコンの23頁
6回 「明いているでしょう。御読みなさい」~三四郎と髭の男は並んで座る
7回 レオナルド・ダ・ヴィンチと桃~子規と柿
8回 「亡びるね」~美しい浜松の西洋人カップルズ

第2章 穴倉
9月1日(日)~9月6日(金)
(大学の小使・野々宮・池の女・年上の看護婦)(母の手紙・御光)
1回 逼塞・その驚きと不愉快~母の手紙
2回 野々宮を訪ねる~「こっちへ」「こっちへ」
3回 野々宮の穴倉生活~「うんまだ蓋が取らずにあった」
4回 池の女~これは椎
5回 野々宮再登場~「君まだいたんですか」
6回 野々宮兼安でリボンを買う~真砂町の西洋料理

第3章 講義
9月11日(水)~10月14日(月)
(与次郎・髭の男・野々宮・下女・よし子・野々宮の母・池の女)(母への手紙・御光)
1回 銀杏の並木~大学の建物と景色~三四郎の癇癪
2回 講義始まる~白馬を売って酒を呑む
3回 与次郎と淀見軒のライスカレー~母への手紙
4回 週40時間~与次郎の個人レッスン~小さんは天才である
5回 図書館~アフラベーン~青木堂の客と髭の男
6回 図書館~ヘーゲルの書込み~野々宮と与次郎の関係
7回 野々宮の家を訪ねる~ひめいちの粕漬
8回 病院からの電報~留守番~下女の臆病
9回 妄想の夜~甲武線の飛込事故
10回 三四郎の夢~若い女の切断遺体
11回 朝帰りの野々宮~袷を届ける御遣い
12回 よし子の病室を訪ねる~母の影
13回 床に転がる毛糸の玉~玄関に池の女がいた
14回 池の女と始めて口をきく~女の髪のリボン

第4章 天長節
10月15日(火)~11月3日(日)
(与次郎・広田先生・美禰子・野々宮)(母の手紙・御光)
1回 世紀末の顔
2回 与次郎に広田先生を紹介される~「知ってる、知ってる」
3回 借家探し
4回 燈明台の絵~佐竹の番人に叱られる
5回 与次郎の焦燥
6回 広田先生は偉大なる暗闇
7回 彽徊家~母の手紙~御光の家からの求婚の話
8回 三四郎の三つの世界~郷里・大学・美禰子
9回 ロマンチックアイロニー天長節
10回 美禰子登場~花は必ず剪って瓶裏に眺むべきものである
11回 「御手伝いをして、一所に始めましょうか」
12回 「何故でも、雲は雲でなくっちゃ不可ないわ」
13回 与次郎と荷物到着~3人で本の整理
14回 画帖~人魚~広田先生帰還
15回 サンドウィッチのご馳走~アフラベーンの『オルノーコ』
16回 Pity’s akin to love ~野々宮来る
17回 「何方です。宗八さんの方をですか、よし子さんの方をですか」「何方でも」

(この項つづく)