明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

漱石「最後の挨拶」心篇 43

256.『心』 ブログ総目次 ブログ総目次 心篇1 214.『心』消印の秘密――起筆日は大正3年4月15日漱石「最後の挨拶」心篇 1 - 明石吟平の漱石ブログ 心篇2 215.『心』消印の秘密(承前)――短篇がいつのまにか長篇へ漱石「最後の挨拶」心篇 2 - 明石吟平…

漱石「最後の挨拶」心篇 42

255.『心』目次(2)――『先生と遺書』 『先生と遺書』 (全56回)第1章 はじめに(大正元年9月)/両親の死(明治26年)(38歳/19歳) 0回 貴方にやっと私の過去を話す時が来た~口で話す代りに手紙で話すことにした1回 貴方からの手紙への返…

漱石「最後の挨拶」心篇 41

254.『心』目次(1)――『先生と私』・『両親と私』 小説『心』の物語の始まり(鎌倉の海)を、明治42年、私24歳、大学1年次を終了して2年次に進む前の夏休みとする。『心』は3年間の物語である。 『先生と私』 (全36回)第1章 鎌倉の海 (明治4…

漱石「最後の挨拶」心篇 40

253.『先生と遺書』1日1回(10)――もうひとつの後日譚 10月2日(水)――変更箇所なし 日が一番高くなった頃、家に向かう俥の中からもう、実家の葬儀の幟は見えていた。 家の中はざわざわ人が行き交っていたが、思いのほか人の数は少なかった。葬儀はこ…

漱石「最後の挨拶」心篇 39

252.『先生と遺書』1日1回(9)――最後の小旅行 さて以前に述べた、『心』の小旅行のうち、先生とKの房総旅行、先生と私の郊外ハイキングに続く、先生の最後の道行きであるが、先に論者は、本項第30項《『両親と私』1日1回(5)――最後の日々》で、先…

漱石「最後の挨拶」心篇 38

251.『先生と遺書』1日1回(8)――処刑台の日々 第12章 悲劇の朝 (明治33年1月27日土曜~1月28日日曜)(26歳) Kの自裁:1月27日土曜 48回 奥さんは2日前に既にKに話をしていた~Kは態度を変えなかったので私は気付かなかった~策…

漱石「最後の挨拶」心篇 37

250.『先生と遺書』1日1回(7)――主人公が決断するとろくなことにならない(つづき) 第11章 最後の決断 (明治33年1月13日土曜~1月27日土曜)(26歳) 先生の求婚:1月22日月曜 44回 私は「覚悟」という言葉を、Kの御嬢さんに対する…

漱石「最後の挨拶」心篇 36

249.『先生と遺書』1日1回(6)――主人公が決断するとろくなことにならない 第8章 帰ってから (明治32年秋~冬)(25歳) 32回 御嬢さんは私を優先して世話を焼くようにみえた~10月中頃、Kの部屋から出る御嬢さんの後ろ姿を見る~御嬢さんがK…

漱石「最後の挨拶」心篇 35

248.『先生と遺書』1日1回(5)――主人公が小旅行するとろくなことにならない 第7章 房総旅行 (明治32年夏)(25歳) 28回 こうして海の中へ突き落したらどうする~丁度好い遣ってくれ~Kの安心の元は学問達成であるか、それとも御嬢さんであるか…

漱石「最後の挨拶」心篇 34

247.『先生と遺書』1日1回(4)――日本で最も有名な頭文字の人物「K」 第5章 Kの生い立ち (明治27年~明治31年)(20歳~24歳) 19回 幼友達K登場~真宗寺から医者の養家へ~先生とKは東京へ出て高等学校へ~同じ室で寝起きして将来を語り…

漱石「最後の挨拶」心篇 33

246.『先生と遺書』1日1回(3)――小石川の素人下宿 第3章 過去との訣別と新しい下宿生活の始まり (明治30年秋~冬)(23歳) 10回 小石川の台地に下宿を探す~ある軍人未亡人・1人娘・下女の素人下宿に入る~なぜこの家は下宿人を入れようとする…

漱石「最後の挨拶」心篇 32

245.『先生と遺書』1日1回(2)――白山島とは何ぞや 第2章 高等学校時代 (明治27年~明治30年)(20歳~23歳) 4回 東京の高等学校へ~田舎で家を監理してくれる叔父のこと~叔父は私の存在に必要5回 2年生になる前の夏休み~始めての帰省~…

漱石「最後の挨拶」心篇 31

244.『先生と遺書』1日1回(1)――手紙と電報の謎再び さて気を取り直して、いよいよ先生の手紙(遺書)である。手紙の冒頭は『両親と私』の17回ですでに披露されているので、それを「0回」として頭に付け足しておく。前述したように、『心』第3篇『先…

漱石「最後の挨拶」心篇 30

243.『両親と私』1日1回(5)――最後の日々 ここで改めて明治天皇御病気以降の、私と先生のカレンダーをまとめてみたい。 前述したように、兄の郷里滞在期間を短縮するため、出来るだけ前倒ししたカレンダーを心掛けた。(『両親と私』の)掲載回も付記す…

漱石「最後の挨拶」心篇 29

242.『両親と私』1日1回(4)――先取り先生の遺書 前項で述べたように、先生の迷い~電報~決心~遺書への流れは、時系列に整理しておく必要がある。それには『心』最終回の援けも借りなくてはならない。 まず取っ掛かりは御大葬の夜の乃木大将の殉死であ…

漱石「最後の挨拶」心篇 28

241.『両親と私』1日1回(3)――手紙と電報の謎 ところでこの先生の手紙(遺書)は、1枚目だけ『両親と私』で紹介されてしまっている。第3篇『先生と遺書』は先生の手紙の2枚目あたりから始まっているのである。小説の構成としてはむしろ趣きがあると言…

漱石「最後の挨拶」心篇 27

240.『両親と私』1日1回(2)――復活したカレンダー(つづき) 第3章 死に近き父 (大正元年9月3日火曜~9月10日火曜) 私・父・母・医者 9回 上京予定日の2日前に父はまた倒れた~足止め~「どうせ死ぬんだから、旨いものでも食って死ななくちゃ…

漱石「最後の挨拶」心篇 26

239.『両親と私』1日1回(1)――復活したカレンダー 『両親と私』 (全18回)第1章 持ち直した父 (明治45年7月6日土曜~7月25日木曜) 私・父・母 1回「こんなものは巻いたなり手に持って来るものだ」「中に心でも入れると好かったのに」2回…

漱石「最後の挨拶」心篇 25

238.『先生と私』1日1回(11)――にやにや笑いの怪 第8章 卒業祝い・お別れ (明治45年7月2日火曜~7月5日金曜)(再掲) 32回 卒業式~その晩は先生の家で御馳走になる~「先生は癇性ですね」~「御目出とう」33回 私は卒業後何をしたいかま…

漱石「最後の挨拶」心篇 24

237.『先生と私』1日1回(10)――永訣 第8章 卒業祝い・お別れ (明治45年7月2日火曜~7月5日金曜) 私・先生・先生の奥さん・下女 32回 卒業式~その晩は先生の家で御馳走になる~「先生は癇性ですね」~「御目出とう」33回 私は卒業後何をし…

漱石「最後の挨拶」心篇 23

236.『先生と私』1日1回(9)――謎の仔犬と少年 第7章 卒業論文・郊外の散歩・先生の約束 (明治45年1月上旬~5月上旬) 私・先生・造園農家の家族と犬 25回 卒業論文を書かねばならない~先生の読書量は最近減ったという~「いくら本を読んでも偉…

漱石「最後の挨拶」心篇 22

235.『先生と私』1日1回(8)――郷里にて 第6章 両親と私 (明治44年12月中旬~明治45年1月初旬) 私・先生・先生の奥さん・私の両親 21回 冬休み前の帰省~父の病気は先生の奥さんの母親と同じ腎臓病~先生から旅費を用立ててもらって夜行列車…

漱石「最後の挨拶」心篇 21

234.『先生と私』1日1回(7)――奥さんによる『心』の解剖学 第5章 奥さんと私 (再掲) 14回 「あなた、あなた」奥さんは先生を制御するようだ~「かつては其人の膝の前に跪ずいたという記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせようとするのです。私…

漱石「最後の挨拶」心篇 20

233.『先生と私』1日1回(6)――親譲りの無鉄砲 第5章 奥さんと私 私・先生の奥さん・先生 14回 「あなた、あなた」奥さんは先生を制御するようだ~「かつては其人の膝の前に跪ずいたという記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせようとするのです。…

漱石「最後の挨拶」心篇 19

232.『先生と私』1日1回(5)――「ずっと」の用例 第4章 リセット/すべてはもう明るみに 私・先生・先生の奥さん 11回 学歴の再確認~先生は世間と無縁に生きている~先生の元同級生批判~「若い時はあんな人じゃなかったんですよ」12回 新潟県人の…

漱石「最後の挨拶」心篇 18

231.『先生と私』1日1回(4)――「仲の好い夫婦」 第3章 先生と奥さん (再掲) 8回 先生の奥さんは美しい人~ある日の食卓にお酒が~「子供でもあると好いんですがね」「一人貰って遣ろうか」「貰っ子じゃ、ねえあなた」9回 先生と奥さんは仲の好い一…

漱石「最後の挨拶」心篇 17

230.『先生と私』1日1回(3)――「其時」の用例 第3章 先生と奥さん 私・先生・先生の奥さん 8回 先生の奥さんは美しい人~ある日の食卓にお酒が~「子供でもあると好いんですがね」「一人貰って遣ろうか」「貰っ子じゃ、ねえあなた」9回 先生と奥さん…

漱石「最後の挨拶」心篇 16

229.『先生と私』1日1回(2)――先生はなぜ驚いたのか 第2章 雑司ヶ谷の墓地 (再掲) 4回 東京の先生の家を始めて訪れる~先生は今は亡くなっている5回 雑司ヶ谷墓地での邂逅~「あすこには私の友達の墓があるんです」6回 先生のただ一人の門人となる…

漱石「最後の挨拶」心篇 15

228.『先生と私』1日1回(1)――名無しの主人公は本卦還りか 『先生と私』 (全36回)第1章 鎌倉の海 私・先生・先生の海水浴の連れの西洋人・私の中国地方の資産家の息子たる友人 1回 鎌倉で一夏を過ごす~海水浴に無聊を紛らわす2回 先生を始めて見…

漱石「最後の挨拶」心篇 14

227.『心』最後の謎(承前)――私の秘密(つづき) (前項よりつづく) 『門』の宗助は三四郎と同じで殆ど例はないが、坂井と宣道にはちゃんと「わたくし」と言っているのに対し、坂井の下女には「わたし」と言っている。御米は宗助に対しては「わたくし」「…