明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」草枕篇 35

331.『草枕』補遺――登場人物と志保田家の秘密 さてそのユニークな『草枕』は、登場人物もまた独自の観点から造型されているようである。 漱石の1人称小説は、広く採り上げれば次の通りであろうか。(年代順) 《作品名・1人称の呼称・主人公の名前・職業身…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 34

330.『草枕』目次(21)第13章(つづき)――何事かが成就した漱石唯一の目出度い作品 第13章 鉄道駅で大切な人との別れ (全3回)(承前)2回 那美さんの肖像画を描く話(P164-5/舟は面白い程やすらかに流れる。左右の岸には土筆でも生えて居りそうな…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 33

329.『草枕』目次(20)第13章――太公望の秘密 第13章 鉄道駅で大切な人との別れ (全3回)1回 川舟に全員集合(P161-9/川舟で久一さんを吉田の停車場迄見送る。舟のなかに坐ったものは、送られる久一さんと、送る老人と、那美さんと、那美さんの兄さんと…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 32

328.『草枕』目次(19)第12章(つづき)――野武士の髯と『一夜』の髯ある人 第12章 白鞘の短刀の行方 (全6回)(承前)4回 那美さん野武士に財布を渡す(P152-15/寝返りをして、声の響いた方を見ると、山の出鼻を回って、雑木の間から、一人の男があら…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 31

327.『草枕』目次(18)第12章――蜜柑山の秘密 第12章 白鞘の短刀の行方 (全6回)1回 芸術家の条件(P143-8/基督は最高度に芸術家の態度を具足したるものなりとは、オスカー・ワイルドの説と記憶している。基督は知らず。観海寺の和尚の如きは、正しく此…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 30

326.『草枕』目次(17)第11章(つづき)――若い人の意見の方が正しい 第11章 山門の石段を登りながら考えた (全4回)(承前)3回 お寺で大徹和尚と了念に会う(P135-12/「和尚さんは御出かい」「居られる。何しに御座った」「温泉に居る画工が来たと、取…

漱石「最後の挨拶」草枕篇 29

325.『草枕』目次(16)第11章(つづき)――有明海の星月夜 第11章 山門の石段を登りながら考えた (全4回)(承前)2回 一列に並んだサボテンと1本の木蓮の大樹(P132-10/仰数春星一二三の句を得て、石磴を登りつくしたる時、朧にひかる春の海が帯の…