明石吟平の漱石ブログ

漱石文学がなぜ読まれ続けるのか。その謎解きに挑む。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石「最後の挨拶」門篇 22

108.『門』人物一覧(4)――『門』目次第18章~第23章 第18章 山門(1) 明治43年1月15日(土)頃~1月25日(火)頃1回 宗助・御米・――・同僚2回 宗助・――・――・釈宜道3回 宗助・――・――・釈宜道4回 宗助・――・――・釈宜道・老師5回 宗助…

漱石「最後の挨拶」門篇 21

107.『門』人物一覧(3)――『門』目次第13章~第17章 第13章 贖罪 明治42年12月30日(木)1回 宗助・――・――・坂井・細君・長女・次女2回 宗助・――・――・坂井・細君・織屋3回 宗助・御米・――・坂井・細君・織屋4回 宗助・御米・――5回 宗助…

漱石「最後の挨拶」門篇 20

106.『門』人物一覧(2)――『門』目次第7章~第12章 第7章 手文庫事件 明治42年11月25日(木)~11月26日(金)1回 宗助・御米・―― 明治42年11月25日(木)2回 宗助・御米・―― 明治42年11月25日(木)3回 宗助・御米・―― 明治…

漱石「最後の挨拶」門篇 19

105.『門』人物一覧(1)――『門』目次第1章~第6章 さて最後は例によって目次の作成である。『門』全104回は23の章に分かたれている。前2作に比べ章分けがやや細かくなっているのはどういう理由によるものか。 それもあって今回はまず最初に、登場…

漱石「最後の挨拶」門篇 18

104.『門』カレンダーの謎(2)――小六の家を出た日はいつか それから約三十分程したら御米の眼がひとりでに覚めた。(12ノ2回末尾) 不思議な文章ではある。語り手漱石による叙述にせよ、宗助の視点から見た叙述にせよ、本来なら「御米の目が開いた」と…

漱石「最後の挨拶」門篇 17

103.『門』カレンダーの謎(1)――小六の引越はいつか さて「手文庫事件」(泥棒事件の言い換え――文面の浄化のため)のあと、『門』はようやく小説らしくなってくる。小六の同居(障子貼りの情景)、坂井との交際(屏風事件の顛末)。そしてこれらの出来事は…

漱石「最後の挨拶」門篇 16

102.『門』泥棒事件の謎(2)――ホームズ登場 ところでホームズならこの事件をどのように見るだろうか。 限りなく怪しいのは、「第一発見者」宗助である。もちろん『門』の読者であれば宗助が犯人たりえないことは考えなくても分かる。しかし坂井の立場から…

漱石「最後の挨拶」門篇 15

101.『門』泥棒事件の謎(1)――9つの謎 冒頭で『門』を平和な小説であると述べたが、その数少ない事件の一つに奇妙な泥棒事件なるものがある。盗られたものは金時計一つで、それも後日送り返されたという、プロの仕業としては(アマチュアの犯行としても)…

漱石「最後の挨拶」門篇 14

100.『門』コントのあとは主役の失踪(3)――小六の変身 宗助も御米も小さな問題は探せば見つかるようであるが、小六もまた漱石ふうの大雑把なようで細かい性格は別として、一回だけ失踪事件を起こしている。 11月いっぱいで寄宿舎を引き払い、宗助夫婦の…

漱石「最後の挨拶」門篇 13

99.『門』コントのあとは主役の失踪(2)――肝心な時にはいつもいない 昔話の第4章では、最後に御米の「夫よりか、あの六畳を空けて、あすこへ来ちゃ不可なくって」(4ノ14回)という提言で、物語はやっと動く気配を見せ始める。宗助は御米に遠慮があっ…